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原子力機構など、加速器質量分析装置を2メートル四方に小型化
日本原子力研究開発機構は放射性炭素を用いて超微量の成分を分析できる「加速器質量分析装置」(AMS)の超小型化に向けた要素技術を開発した。イオンビームの角度の広がりを抑え効率的にイオンを検出できる「結晶表面ストリッパー法」を開発し、AMSのサイズを2メートル四方に小型化した。トラックでの運搬が可能。高レベル放射性廃棄物の地層処分、地質学や考古学などの学術現場での測定が期待される。
ペスコ(東京都港区)との共同研究。成果は原子力関連の国際科学誌に掲載された。
結晶表面ストリッパー法は塩化カリウムの結晶を使用。従来技術の課題であったイオンビームの角度の広がりを抑え、イオンの損失を抑えた効率的なイオン検出が可能になった。この技術で幅10メートル以上の大型加速器が不要となり、約2メートル四方の小型装置の設計が可能になった。
従来のガスストリッパー法でAMSを小型化するには加速電圧を下げる必要があった。加速電圧が低いとビーム散乱が大きくなり、検出器に入る炭素の量が減り正確な分析が難しかった。
日刊工業新聞 2024年11月20日
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原子力といえば原子力発電がイメージされますが、燃料電池や自動車エンジンの開発にも貢献する基幹技術です。イノベーション創出に向け、「原子力×異分野」の知の融合を推進する原子力機構の『価値』を紹介します