富士フイルムが考える、カメラ市場回復の起爆剤は?

【拡大版】連載・局面打開へ挑むカメラ各社#05 富士フイルム光学・電子映像事業部長・飯田年久氏

 有効画素数約1億200万画素を誇る中判ミラーレスカメラ「GFX100」を6月に発売した富士フイルム。市場活性化のけん引役を目指す同社は、最上位機の投入に続いてどのような仕掛けを考えているのか。飯田年久光学・電子映像事業部長に聞いた。(聞き手・国広伽奈子)

―GFX100の反響はどうでしたか。
 「5月下旬に予約注文を始めると、1カ月で想定の倍以上の注文が全世界から届いた。ハイアマチュア層からの注目も高く、画素数1億超えの衝撃は大きかったようだ」

―市場活性化に向けた次の仕掛けは。
 「APS―C機の『Xシステム』を拡充する。今までの機種をより進化させる方針だ。カメラ市場では高性能な製品が増えているが、特に交換レンズを中心に高額化・重量化も進んでいる。これは一般ユーザーが敬遠する材料だ。ハイエンド層の期待に応えることも大切だが、そこばかり見ているようではカメラ離れは止まらない」

―一般ユーザー向けの製品開発のポイントは何でしょうか。
 「まず小型・軽量は外せない。簡単な操作で誰でもプロのような写真を撮れることも大事な要素だ。また、動画の需要は今後伸びていくだろう。第5世代通信(5G)が始まると4K撮影の重いデータも送りやすくなる」

―スマートフォンとの差別化について。
 「複眼や10倍ズームなどスマホの撮影機能も進化している。ただし、背景のボケや暗い場所での撮影、解像度はまだ(レンズ交換式が)優位だ。とはいえ、値段が高いとその魅力も伝わりづらい」

―どのように課題を克服していきますか。
 「生産効率の改善、コストダウンの取り組みは進める。レンズの生産は効率化が難しいが、工程監視など自前の技術で活用できるものは生かす」

―マーケティングの戦略を教えてください。
 「直接手に取ってもらう接点をもっと作っていきたい。アジア市場の今後には期待している。2019年は中国・上海にショールームを開設したが、イベントや体験会を開くと若い世代が訪れる。カメラを所有する文化を現地に築いていきたい」

―カメラ業界の再活性化を掲げています。
 「今のデジカメは元気のない市場だと思われている。スマホの普及に押されているだけでなく、スマホを上回る魅力を持った製品がないからでは、と思う。どこでも持ち運べてきれいに撮れる普及タイプを出すことで再活性化していきたい」

―GFX100の発表会でも、魅力のある革新的な製品の重要性に触れています。
 「GFX100の場合は、産業用途での幅広い活用も見込める高画素・高感度や色域の広い動画撮影などの特長がある。中判以上のイメージセンサーを搭載したカメラの課題である重量や遅さについても、改善したことで評価されている」

―交換レンズのラインアップ拡充の方針は。
 「ロードマップは1年に1度更新している。これまでに年間平均5、6本ずつ新製品を発表してきた。そのペースを緩めるつもりはない」

―製造自動化について。
 「18年に増設した宮城工場に自動化技術を組み込んでいる。交換レンズも一部は自動化しているが、調整工程などは人間の目がどうしても必要。機械が人をアシストする、という世界が現実的だと思う」
FUJIFILM GFX100

連載・局面打開へ挑むカメラ各社(全6回)


【01】キヤノン(9月17日公開)
【02】ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ(9月18日公開)
【03】パナソニックアプライアンス社(9月19日公開)
【04】オリンパス(9月20日公開)
【05】富士フイルム(9月21日公開)
【06】ニコン(9月22日公開)

日刊工業新聞2019年9月6日に加筆・修正

COMMENT

国広伽奈子
デジタルメディア局
記者

世界初のフルデジタルカメラを開発したのは同社。先の需要を見据えて動くDNAは、18年10月に発表した監視カメラ市場への新規参入にも引き継がれている。現在のイメージング事業の売り上げ構成比は全体の16%程度。19年4―6月期の同事業は減収営業減益だったが、GFX100やインスタントカメラ「インスタックス(通称チェキ)」の人気で巻き返す。

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