【アイシン精機】CASE対応へ社長が考える選択と集中の軸
【連載・企業研究(8)アイシン精機】
**筋肉質な体制に/アイシン精機社長・伊勢清貴氏に聞く
―バーチャルカンパニー(VC)制の意義とは。
「従来の分社化で小さく分れすぎた事業をある単位で固めて、ムダの削減や経営資源のシフト、選択と集中を行うための体制だ。もっと加速する。就任時に策定した行動指針の一つが『あらゆる壁を打ち破る』だが、大きな柱がVCだ」
―異業種も巻き込んだ競争に備え、競合他社の投資が積極的です。
「我々もCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に対応できる企業行動に変える。そのためには筋肉質にしなければならない。この二つを同時に実現するのが喫緊の課題だ。グループ同士の社長や役員の統合もムダを省く一つの手段だ。国内外でどんどん進める」
―生産の効率化策は。
「同じ部品を作っている工場の生産性を『見える化』し、最も優れた工程を他に移植する。良い工程や作業は映像も使い横展開する。2018年10月にようやく全体の見える化ができた。横串を刺してグループ連携を進める」
―本社機能や管理部門もそれぞれの会社に存在します。
「重複を減らして最も効率化したい部分だ。今後は人の採用も簡単にはいかないだろう。いかに人手をかけず、固定費を減らすかが大切になる。試験研究費や設備投資は先行投資なのでやらねばならない。その他の固定費をどう減らすかが、経営の大きなテーマだ」
―これまでは専業化で事業スピードを高めてきました。VC化で鈍る懸念は。
「意思決定の仕方は意識して設計しており、複雑にはなっていない。優先度を決めれば、経営スピードは決して意思決定の方法だけに影響されるものではない。それよりもムダの方が気になっている。これまでは細分化しすぎた面がある。VC化による取捨選択の効果の方が大きいのではないか」
―選択と集中をどう進めますか。
「本当に競争力があるのか。それが全てだ。今は競争力がなくても将来性があるなら力を入れねばならないが、そのどちらでもなければ再編しないといけない。市場で1位、2位の製品に集中する」
―注力領域は。
「CASEが大きなテーマだ。特に電動化は重点分野で、手放す気はない。モーターやそれに適したユニット、ギア、電動ブレーキや電動オイルポンプなど、電動化に関わる周辺部品は全て手がけている。アイシンとして方向性をそろえてやっていく」
(聞き手・政年佐貴恵)
【01】CASE時代へ、東京事務所の“壁”を壊したアイシン精機の危機感(2019年4月1日配信)
【02】経営改革を断行する“連結の申し子”のビジョン(2019年4月2日配信)
【03】グループ企業の経営統合へ突き動かしたドイツの脅威(2019年4月3日配信)
【04】「絶対に負けられない」電動化対応ブレーキの戦い(2019年4月4日配信)
【05】競合相手と統合して得たモノ、得ていないモノ(2019年4月5日配信)
【06】シートやドアを自動制御、コンセプトカーが現実になる日(2019年4月6日配信)
【07】規模3年で倍に、成長性を確信する事業の正体(2019年4月7日配信)
【08】CASE対応へ社長が考える選択と集中の軸(2019年4月8日配信)
(この連載は政年佐貴恵が担当しました)
―バーチャルカンパニー(VC)制の意義とは。
「従来の分社化で小さく分れすぎた事業をある単位で固めて、ムダの削減や経営資源のシフト、選択と集中を行うための体制だ。もっと加速する。就任時に策定した行動指針の一つが『あらゆる壁を打ち破る』だが、大きな柱がVCだ」
―異業種も巻き込んだ競争に備え、競合他社の投資が積極的です。
「我々もCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に対応できる企業行動に変える。そのためには筋肉質にしなければならない。この二つを同時に実現するのが喫緊の課題だ。グループ同士の社長や役員の統合もムダを省く一つの手段だ。国内外でどんどん進める」
―生産の効率化策は。
「同じ部品を作っている工場の生産性を『見える化』し、最も優れた工程を他に移植する。良い工程や作業は映像も使い横展開する。2018年10月にようやく全体の見える化ができた。横串を刺してグループ連携を進める」
―本社機能や管理部門もそれぞれの会社に存在します。
「重複を減らして最も効率化したい部分だ。今後は人の採用も簡単にはいかないだろう。いかに人手をかけず、固定費を減らすかが大切になる。試験研究費や設備投資は先行投資なのでやらねばならない。その他の固定費をどう減らすかが、経営の大きなテーマだ」
―これまでは専業化で事業スピードを高めてきました。VC化で鈍る懸念は。
「意思決定の仕方は意識して設計しており、複雑にはなっていない。優先度を決めれば、経営スピードは決して意思決定の方法だけに影響されるものではない。それよりもムダの方が気になっている。これまでは細分化しすぎた面がある。VC化による取捨選択の効果の方が大きいのではないか」
―選択と集中をどう進めますか。
「本当に競争力があるのか。それが全てだ。今は競争力がなくても将来性があるなら力を入れねばならないが、そのどちらでもなければ再編しないといけない。市場で1位、2位の製品に集中する」
―注力領域は。
「CASEが大きなテーマだ。特に電動化は重点分野で、手放す気はない。モーターやそれに適したユニット、ギア、電動ブレーキや電動オイルポンプなど、電動化に関わる周辺部品は全て手がけている。アイシンとして方向性をそろえてやっていく」
(聞き手・政年佐貴恵)
連載・企業研究 アイシン精機
【01】CASE時代へ、東京事務所の“壁”を壊したアイシン精機の危機感(2019年4月1日配信)
【02】経営改革を断行する“連結の申し子”のビジョン(2019年4月2日配信)
【03】グループ企業の経営統合へ突き動かしたドイツの脅威(2019年4月3日配信)
【04】「絶対に負けられない」電動化対応ブレーキの戦い(2019年4月4日配信)
【05】競合相手と統合して得たモノ、得ていないモノ(2019年4月5日配信)
【06】シートやドアを自動制御、コンセプトカーが現実になる日(2019年4月6日配信)
【07】規模3年で倍に、成長性を確信する事業の正体(2019年4月7日配信)
【08】CASE対応へ社長が考える選択と集中の軸(2019年4月8日配信)
(この連載は政年佐貴恵が担当しました)
日刊工業新聞2019年3月28日