サプライヤーに省エネ“勘所”伝授、自社の成長近道に
【連載#8】「脱炭素経営 パリ協定時代の成長戦略」
コニカミノルタはサプライヤーの省エネルギー活動を支援している。同社の省エネの専門家が工場に出向き、空気圧縮機のフィルターの汚れ、吸気と排気の温度など、省エネの“勘所”を惜しげもなく伝授する。サプライヤーは改善によって省エネと光熱費の削減を実現している。2014年度から17年度まで14社を支援し、18年度はさらに3社が加わった。
サプライヤーとの共存共栄が狙いだ。コスト削減は効果として分かりやすく、省エネ活動を続ける動機になる。将来、エネルギー価格の上昇や二酸化炭素(CO2)排出削減の圧力が強まっても、省エネ活動が定着したサプライヤーは対応できる。コニカミノルタも部品を安定調達でき、安心して事業を継続できる。
コニカミノルタの50年度の温室効果ガス排出削減目標は05年度比80%減。取引先を支援するCO2削減量を、コニカミノルタの残った排出量と同量することでCO2排出を実質ゼロにする。
オフィス複合機を購入する顧客にも環境活動を伝えている。営業員と一緒に環境担当者が顧客を訪問し、省エネや化学物質管理などを説明する。関心のある企業に一堂に集まってもらう交流会も中国で始めた。顧客との接点が強まったことで17年度末までに200件近い商談に発展し、複合機の成約に貢献できた。
高橋壮模サステナビリティ推進部長は「CO2削減の輪が広がり、ビジネスにもつながる」と活動の効果を強調する。脱炭素化への流れが強まって顧客のCO2削減意欲が高まるほど、ビジネス機会が生まれる。
「脱炭素とパワーデバイスはエレクトロニクス業界をけん引するファクター(要因)であり、我々の存在意義を示せる」。三菱電機の半導体・デバイス第一事業部の山崎大樹事業部長はこう語る。パワーデバイスは電気を使う機器の省エネ化に欠かせない。同社は高性能半導体を搭載したパワーデバイスを製造しインフラ、自動車、産業機械、家電などに供給している。脱炭素の流れを受け「あらゆる分野でニーズが高まっている」(山崎部長)という。
風力発電所がつくった電気の品質を整えて各地に届ける設備にパワーデバイスを使うと、送電中に失われる電気を減らせる。消費電力を細かく調整するインバーターもパワーデバイスが使われており、家電向けへの需要が世界的に伸びている。
幅広い用途のパワーデバイスを生産する企業は世界でも三菱電機など数社に限られる。最先端機器にはパワーデバイスが使われるため、同社は技術革新も先導できる。脱炭素の潮流はあらゆる製品の省エネ化に貢献し、事業成長を両立できるチャンスだ。
【1】日本企業のCO2排出ゼロ宣言が増加、環境先進企業の新たな条件に
【2】CO2ゼロ宣言する欧米企業との差、日本の地位低下に危機感
【番外編】ソニー・平井会長、脱炭素への決意語る
【3】「再生エネ買えない」で、外資企業が日本から撤退
【4】アップルが社名公表、再生エネ利用が取引条件になる日
【5】国内電力の1%、イオンとNTTが再生エネ市場を刺激する!
【6】世界1位のゼロエネ住宅「政府より先に」で商機
【7】リコーが開発した“常識外れ”の水車の挑戦
【8】サプライヤーに省エネ“勘所”伝授、自社の成長近道に
【番外編】《2075年》CO2排出量ゼロ実現に必要な日本の3つの技術
【9】環境事業のお金を回す債券「グリーンボンド」とは?
サプライヤーとの共存共栄が狙いだ。コスト削減は効果として分かりやすく、省エネ活動を続ける動機になる。将来、エネルギー価格の上昇や二酸化炭素(CO2)排出削減の圧力が強まっても、省エネ活動が定着したサプライヤーは対応できる。コニカミノルタも部品を安定調達でき、安心して事業を継続できる。
コニカミノルタの50年度の温室効果ガス排出削減目標は05年度比80%減。取引先を支援するCO2削減量を、コニカミノルタの残った排出量と同量することでCO2排出を実質ゼロにする。
オフィス複合機を購入する顧客にも環境活動を伝えている。営業員と一緒に環境担当者が顧客を訪問し、省エネや化学物質管理などを説明する。関心のある企業に一堂に集まってもらう交流会も中国で始めた。顧客との接点が強まったことで17年度末までに200件近い商談に発展し、複合機の成約に貢献できた。
高橋壮模サステナビリティ推進部長は「CO2削減の輪が広がり、ビジネスにもつながる」と活動の効果を強調する。脱炭素化への流れが強まって顧客のCO2削減意欲が高まるほど、ビジネス機会が生まれる。
「脱炭素とパワーデバイスはエレクトロニクス業界をけん引するファクター(要因)であり、我々の存在意義を示せる」。三菱電機の半導体・デバイス第一事業部の山崎大樹事業部長はこう語る。パワーデバイスは電気を使う機器の省エネ化に欠かせない。同社は高性能半導体を搭載したパワーデバイスを製造しインフラ、自動車、産業機械、家電などに供給している。脱炭素の流れを受け「あらゆる分野でニーズが高まっている」(山崎部長)という。
風力発電所がつくった電気の品質を整えて各地に届ける設備にパワーデバイスを使うと、送電中に失われる電気を減らせる。消費電力を細かく調整するインバーターもパワーデバイスが使われており、家電向けへの需要が世界的に伸びている。
幅広い用途のパワーデバイスを生産する企業は世界でも三菱電機など数社に限られる。最先端機器にはパワーデバイスが使われるため、同社は技術革新も先導できる。脱炭素の潮流はあらゆる製品の省エネ化に貢献し、事業成長を両立できるチャンスだ。
連載「脱炭素経営 パリ協定時代の成長戦略」
【1】日本企業のCO2排出ゼロ宣言が増加、環境先進企業の新たな条件に
【2】CO2ゼロ宣言する欧米企業との差、日本の地位低下に危機感
【番外編】ソニー・平井会長、脱炭素への決意語る
【3】「再生エネ買えない」で、外資企業が日本から撤退
【4】アップルが社名公表、再生エネ利用が取引条件になる日
【5】国内電力の1%、イオンとNTTが再生エネ市場を刺激する!
【6】世界1位のゼロエネ住宅「政府より先に」で商機
【7】リコーが開発した“常識外れ”の水車の挑戦
【8】サプライヤーに省エネ“勘所”伝授、自社の成長近道に
【番外編】《2075年》CO2排出量ゼロ実現に必要な日本の3つの技術
【9】環境事業のお金を回す債券「グリーンボンド」とは?
日刊工業新聞 2018年11月27日