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日本製のデング熱簡易検査キット、低価格品で東南アジアへ普及なるか

バイオメディカル研がタイで有効性を確認へ
日本製のデング熱簡易検査キット、低価格品で東南アジアへ普及なるか

タイで実証を始めるデング熱簡易検査キット

【千葉】バイオメディカル研究所(千葉市中央区、宮崎功社長、043・301・3281)は、タイでデング熱の簡易検査キット「ラピデング」の普及・実証事業を始める。国際協力機構(JICA)の事業に採択され、10月1日から1万キットをタイの病院で使用し、有効性や需要を確かめる。事業終了後、タイで年間10万キットの販売を目指す。また、東南アジアでの普及に向け、製造コストの低減に取り組む。

 バイオメディカル研究所のラピデングは、血液などからデング熱を約90%の精度で検出できる。10―15分で結果が表示される。価格は1キット約1000円。同程度の精度を持つ海外品は価格が約2倍し、タイでは検出精度60%程度のキットが広く使われている。普及・実証事業に先立ち、2014年10月から1年間、タイでデング熱の発生状況や行政、医療機関の対応を調査した。タイでは年間平均5万―6万人がデング熱にかかる。感染症の通報、管理体制は整備されているが、特に地方の病院での検査精度が低い。

 また、検査費用が高額なため受診しない患者も多い。その結果、対応遅れによる重症化、誤診による不要な治療費、蚊の駆除費が発生していると分かった。そこで、高精度で安価なラピデングに需要があると判断した。国内よりデング熱の発生が多い東南アで普及させるため、製品価格は1キット500円程度を目指し、生産拠点の海外移管も検討する。
日刊工業新聞2016年9月6日 ヘルスケア面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
普及に向けては、海外生産を含めた製造コストの低減がカギを握りそうです。

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