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社員食堂で健康測定、住友商事がサービス展開狙う

社員食堂で健康測定、住友商事がサービス展開狙う

トモズとサミットの併設店で展開する健康測定サービス「けんコミ」を社員食堂に展開することを狙う(横浜市戸塚区)

住友商事が健康増進を支援する事業の拡大に乗り出した。傘下のドラッグストア「トモズ」と食品スーパーマーケット「サミット」の併設店で展開する健康測定サービスを、住友商事の社員食堂で試験提供する。社員食堂の出入り口に設置した機器で測定した血管年齢や基礎代謝量などを基に、スマートフォンのアプリケーションでおすすめの健康食品を提示し、トモズなどの商品購入につなげる。同社での実証結果を生かし、健康経営を掲げる企業の社員食堂へのサービス展開などを狙う。(編集委員・田中明夫)

住友商事はトモズとサミットの併設店で2021年から健康コミュニティーサービス「けんコミ」を展開。顧客は店頭で血管年齢や骨の健康度、基礎代謝量、肌年齢などの計測器を無料で利用し、測定結果や常駐する管理栄養士の健康アドバイスを食品選びに生かせる。

調剤併設型ドラッグストア「トモズ」のサービス基盤などを生かし、食と健康の課題解決を推進する

専用アプリには健康測定の結果と消費者の購買情報「ID―POSデータ」を掛け合わせて、おすすめの食材などを示す機能を搭載している。けんコミ提供店はトモズとサミットが併設する首都圏約10店舗のうち7店舗に拡大した。

住友商事が次のターゲットとするのが企業の社員食堂だ。企業の人的資本投資の一環で高まる社員の健康増進ニーズの取り込みを狙う。

まずは住友商事本社(東京都千代田区)の社員食堂で7月から約3カ月間の日程で実証試験を始めた。昼食前後の短時間で健康測定ができる機器を取りそろえ、アプリに社員食堂のメニューを入力すると栄養の過不足を確認できる。1日当たり30―50人の社員が測定機器を利用しており、アプリを通じてお勧めするトモズの健康食品の購買履歴も確認できる。

今後は実証試験の結果を踏まえて企業の社員食堂へのけんコミの展開を検討するほか、「けんコミのスペースがなくても、サミットやトモズで使えるアプリへとサービスを拡充することも考える」(住友商事リテイルデータマーケティングユニットの黒岩恭子チーム長)という。食品小売りや健康に関するデータを集積・分析し、顧客満足度を高める新サービスの創出を図る。

住友商事はすでにトモズの在宅調剤サービスと、訪問看護ステーションへのIT業務支援を展開するeWeLL(イーウェル)の連携による在宅医療サービスを推進している。サミットの食品事業との相乗効果の発揮も狙い、少子高齢化が進む地域社会で食と健康の課題を解決する事業群の形成を目指す。

大手商社では24年に入り、小売り事業改革が活発化している。三菱商事は傘下のコンビニエンスストアのローソンについてKDDIとの共同経営への移行を決めたほか、丸紅は協業先のイオンとデジタル変革(DX)を含む戦略的提携を結んでいる。少子高齢化や情報通信技術(ICT)の進化を背景に消費行動が変容する中、商社の幅広い事業ポートフィリオを生かしたサービス開発競争が激しさを増しそうだ。

日刊工業新聞 2024年8月15日