ニッケル亜鉛電池月産3倍、FDKが量産の足がかりへ設備増強
25年度量産目指す
FDKは2023年度内に高崎工場(群馬県高崎市)にあるニッケル亜鉛電池の試作品の生産ラインを増強し、24年春をめどに稼働する。投資額は数億円で、増強完了後には試作品の月産能力が現状比約3倍の3万個になる見通し。鉛蓄電池の代替需要を積極的に取り込み、量産の足がかりにする。「24年度内には本格的な量産に向けた投資について判断をしたい」(長野良社長)考えで、25年度以降に量産を始めるとみられる。
FDKはニッケル亜鉛電池の試作品を出荷中だが、国内外の約10社から試作品の注文や問い合わせがあり、引き合いが増えているため高崎工場の試作ライン増強を決めた。試作品は「実機ベースでの評価をしていただいている」(同)。
増強する試作ラインの稼働後に、顧客の受注状況を踏まえた上で量産のための投資に踏み切る。鉛蓄電池に含まれる鉛の環境負荷が高いため、ニッケル亜鉛電池に代替する動きが加速しているといい、長野社長は「市場のポテンシャル(潜在力)は大きい」とみている。
FDKは23年3月に一部顧客向けに試作品の出荷を始めたと発表。無人搬送車(AGV)の動力用電源用途などを想定する。またバックアップ(予備)電源用の鉛蓄電池の置き換えを想定した連続充電評価試験では、約1年経過後も安定した容量を維持できることを確認できたという。
FDKは24年3月期の売上高を前期比3・5%増の650億円と見通す。30年3月期には売上高800億円を目標とする。全固体電池とともに次世代電池の一つに位置付けるニッケル亜鉛電池が成長を後押ししそうだ。
日刊工業新聞 2024年02月26日