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長寿命リチウム電池を試作・活用、スリーダムアライアンスが9社と連携し実証

長寿命リチウム電池を試作・活用、スリーダムアライアンスが9社と連携し実証

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スリーダムアライアンス(東京都港区、松村昭彦社長)グループは、中国の二次電池メーカーのTENPOWERなど9社と組み、従来品の数倍の寿命を持つ次世代型リチウムイオン電池(LiB)を試作して最終製品に組み込む実証事業を始める。同社が開発したセパレーターや電解液を使って、長寿命で耐熱性も高いLiBを組み立て、電気自動車(EV)などに実装して効果を検証する。ユーザー企業にも参画してもらい、次世代LiBの本格採用につなげる。

東京都立大学発ベンチャーのスリーダムアライアンスの音頭で、国内外のセルメーカーや電池パックメーカー、電池のユーザーなど10企業グループが集まり、次世代型LiBの実証事業「X―10プロジェクト」を始動させた。ユーザー各社の注文に応じる格好で、メーカー側が試作に取り組み、EVや電動自転車などに実装して性能や効果を実証する。

ほかの電池関連メーカーやユーザーにも参加を呼びかけ、試作を通じて電池の部品から最終製品にまで至るサプライチェーン(供給網)が滞りなくつながるよう調整する。

長寿命で熱にも強いという特性を生かした新しい事業モデルの検討も促す。EVなどを長期のリースや、サブスクリプション(定額制)型のサービスとして提供した場合の二酸化炭素(CO2)削減効果などを調べ、脱炭素・低炭素型ビジネスの創出を後押しする。

スリーダムアライアンスグループが開発したセパレーター「X―SEPA」は、耐熱性が高いポリイミド樹脂を基材とする多孔質の構造体。LiBの劣化を引き起こすデンドライト(充電に伴って成長するリチウムの樹枝状結晶)が発生しにくいため、電池の寿命が従来型LiBの3―5倍に延び、耐熱性も高まるという。


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日刊工業新聞 2023年09月14日

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