「第3」低迷・「ビール」2年連続増加、続く回帰で新製品相次ぐ
ビール大手4社が発表した2023年(1―12月)のビール類(ビール、発泡酒、第三のビール)の合計販売数量は前年比1%減で、2年ぶりのマイナスになった。酒税改正で減税になったビールカテゴリーが伸長し2年連続プラスになった一方、増税になった第三のビールが同15%減と大きく低迷した。キリンビールの調べによるとビールカテゴリーが構成比で7年ぶりに50%を超えたとし、この流れは今後も続く見通しだ。(編集委員・井上雅太郎)
「23年10月の酒税改正で減税になり、大手各社が展開を強化してきたためビールカテゴリーが伸びた」(キリン)と2年連続増の背景を説明。23年はサントリーがスタンダードビール「サントリー生ビール」を発売。さらにアサヒビールがプレミアムビール「アサヒ食彩」を、サッポロビールが糖質・プリン体を低減した「サッポロ生ビール ナナマル」を投入するなど新商品が相次いだ。
各社主力ブランドも好調でアサヒの「スーパードライ」が前年比4%増の7131万ケース(1ケースは大瓶20本換算)。キリンの「一番搾り」も同5・4%増の2920万ケース、サントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」が同9%増の1433万ケース、サッポロの「黒ラベル」が同11・2%増の1556万ケースと軒並みに伸ばした。
ビールカテゴリーが構成比で50%超になるのは17年に他カテゴリーの伸長で50%を割り込んで以来の7年ぶりという。松山一雄アサヒビール社長が「ビールへの安定した流れが続く」と指摘するように26年のビール類酒税の一本化に向けて、減税になるビールへの回帰が今後も続くとみられている。
一方、第三のビールは低迷した。サントリーの「金麦」が同3%減の3289万ケースやアサヒの「クリアアサヒ」が同1・1%減の1417万ケースなどマイナスながら健闘したブランドもある。しかしキリンの「本麒麟」が同9・6%減の1530万ケースや、サッポロの「GOLD STAR」が同8・5%減の542万ケースと低迷し、これら以外ブランドも大きく下げているようだ。このカテゴリーでは主要ブランドの3―4銘柄を残し淘汰(とうた)が進むとみられている。
17日までに発表した23年12月単月の販売数量はビール類で前年同月比5%減。ビールが忘年会需要もあり同5%増だったが、第三のビールは同24%減と15カ月連続のマイナスになっている。