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売上高5000億円…富士フイルムがバイオ開発製造受託の目標前倒し、社長が強調する強み

売上高5000億円…富士フイルムがバイオ開発製造受託の目標前倒し、社長が強調する強み

CDMOのカリフォルニア拠点

富士フイルムはバイオ開発製造受託(CDMO)事業で2030年度に売上高5000億円の目標を2年前倒しする。抗体医薬品が想定以上に好調なため生産性を高めるほか、価格是正にも取り組む。富士フイルムはこれまで設備強化など約70億ドル(約1兆200億円)を投じており、22年度のCDMO事業の売上高は前年度比29・2%増の1942億円にまで拡大。さらに強化することで、28年度に売上高目標の達成を目指す。

富士フイルムはデンマークや米国の拠点に投資を進めてきており、5日にはカリフォルニアとウィスコンシンの拠点に計約2億ドルを投じる設備投資を発表。両拠点で生産能力を2倍に引き上げる計画で、26年に同社CDMO事業全体の生産能力は世界トップクラスの66万リットルとなる。

CDMOの世界市場は28年には約40兆円となる見通し。富士フイルムの後藤禎一社長兼最高経営責任者(CEO)は「モダリティー(治療手段)としては抗体薬が最も大きいが、今後大きく成長が期待される細胞治療の技術などを取りそろえているところが強み」と強調する。製薬企業の多様化するニーズに応える。

また同社はCDMO事業の強化のため、日本やアジアの製薬会社やバイオベンチャー向け販売会社の富士フイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ・ジャパン(FDBJ、東京都港区)を7月に始動。主力の抗体薬を軸とし、これまでの欧米に加えアジア圏の顧客獲得に力を入れる。

日刊工業新聞 2023年12月12日

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