富士フイルムがバイオ医薬品大型増強、世界トップレベルの生産能力で売上高5000億円へ

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連続生産システムの精製工程(富士フイルム提供)

富士フイルムがバイオ医薬品の開発・製造受託(CDMO)事業で大規模な設備増強に乗り出す。抗体医薬品の旺盛な製造受託ニーズを受け、デンマーク拠点に大型タンクを追加増設するほか、米テキサス拠点に2例目となる自社開発の連続生産システムを導入する。世界トップレベルの生産能力を有し、同事業で「2030年度に21年度比3・3倍の売上高5000億円を目指す」(後藤禎一富士フイルムホールディングス社長最高経営責任者〈CEO〉)と攻勢をかける。(藤木信穂)

抗体医薬品市場は既存薬の需要増に加え、抗体薬物複合体(ADC)やバイスペシフィック抗体を用いた薬など新薬の拡大により、年率10%超の成長が見込まれている。こうした背景で富士フイルムはバイオCDMO事業の中核を担う子会社フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズの拠点に総額約2000億円を投じて設備増強する。

業界主流の大型タンクを用いた「バッチ生産方式」による原薬製造設備は現在、デンマーク拠点に2万リットル培養タンクを6基持つ。20年に6基の追加導入を決めたが「それでも旺盛な需要に対応できない」(加瀬晃バイオCDMO事業部次長)と今回さらに8基の増強を決めた。21年には米ノースカロライナ拠点に8基の新設を決めており、26年の稼働時は28基体制となる。

加えて同社の特徴となるのが、バッチ式に比べて3倍以上の生産効率を持つ独自の連続生産システムの構築だ。培養タンクは500リットルと小型のため、初期投資はバッチ式の約4分の1で済む。培養から精製まで原薬の一貫生産が可能な「連続生産方式」を業界で初めて開発した。

需要の変動に対して生産量を柔軟に調整でき、また高純度な抗体が作れるため「顧客である製薬企業にとっては、バイオシミラー(バイオ後続品)の参入障壁にもなる」(同)との利点もある。

連続生産方式では21年に英国拠点への初導入を決め、現在、医薬品製造品質管理基準(GMP)対応がほぼ完了し、23年に稼働する予定。さらに米テキサス拠点にも同様の設備が完成すれば、26年には欧米両市場で連続生産方式による原薬の製造体制が確立する。

これにより、バッチ生産方式と連続生産方式を合わせた抗体医薬品の培養タンク容量の合計は、26年に現在比4・2倍の約59万リットルとなる。

富士フイルムはバイオCDMO業界で30年以上の実績を持つリーディングカンパニー。加瀬次長は「顧客ニーズに合わせ、バッチ生産方式と連続生産方式の両輪で抗体医薬品を生産する」と話す。

日刊工業新聞2022年9月6日

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