ルノーと対等出資で最終合意、日産社長が強調した新たなアライアンスに移行する意義
日産自動車と仏ルノーは、ルノーの日産への出資比率を43%から15%に引き下げ、互いの出資比率を対等とする最終契約を締結した。ルノーが計画する電気自動車(EV)とソフトウエアの新会社「アンペア」に対し、日産は最大約930億円(6億ユーロ)を出資する。1999年から続く資本関係を対等にして自動車業界の激しい変化に対応しながら、各社が自由度の高い成長戦略を選択できる新しいアライアンス(連合)の形に移行する。
ルノーが持つ日産の株式43%のうち28・4%をフランスの信託会社に移し、相互の出資比率が15%で対等となる手続きを23年内に完了する。内田誠社長は「これまでも対等のマインドセットでやってきたが、資本の契約により本当の意味で対等になるのが一番大きい」と強調。北米や中国などの主要市場で、他の完成車メーカーやサプライヤー、異業種などとの連携をルノーの承諾を得ることなく自由に進め、日産の成長戦略を優先していく考えを示した。
新会社「アンペア」には新会社の時価総額の15%以下となる範囲で、最大6億ユーロを出資する。電動化の取り組みを強化し、コストの効率化や規制対応、EVやパワートレーン(駆動装置)のラインアップ拡大といった効果を見込む。新会社には日産から取締役を送るが、人数は議論中としている。
日産とルノーは18年に経営トップだったカルロス・ゴーン元会長が逮捕された後、ルノーが経営統合を模索したことで対等としてきた関係に亀裂が生まれた。直近でもルノーとの対等でない資本関係が、日産の取締役や経営陣によるガバナンス(企業統治)の混乱に影響を及ぼしている。内田社長はこうした状況について「対等の立場で議論すべき時に、また何か起こるかもと常に思いながらやってきた。それを払拭して、成長のための議論に集中したい」とし、新しいアライアンス関係に移行する意義を強調した。
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