HV車両コストをガソリン車並みに、日産が生かす強み
日産自動車は9日、2026年までにハイブリッド車(HV)の車両コストをガソリン車と同等にすると発表した。HVと電気自動車(EV)でインバーターなど主要部品を共用。モーターに使う希土類(レアアース)の量も減らして価格競争力を向上する。26年までにモーターやインバーターなどで構成する電動駆動装置(パワートレーン)ユニットのコストを19年比30%削減し、電動車の車両コストを引き下げる。
日産はエンジンを発電に使い、モーターのみで駆動する独自のHV技術「eパワー」を展開。電動車で主要部品を共有する技術を蓄積してきた。平井俊弘専務執行役員は「100%モーターで駆動するソリューションを取らない限り(HVとEVで)モーターやインバーターは一緒にならない」とし、この強みを生かして電動車の車両コストを下げる。
電動パワートレーンではEV向けにモーター、インバーター、減速機の主要3部品を、HV向けに同3部品に発電機と増速機を加えた主要5部品を一体化した次世代電動ユニットを開発。併せて磁石に使う重希土類の配置を最適化する独自技術などで、レアアースの使用量を現状比25分の1以下に減らしたモーターも開発する。
EVとHV向け次世代電動ユニットでは設計の工夫で混流生産を実現し、新型モーターなど主要部品の共有で量産効果を最大化する。またユニットの一体化で現状比10%の小型化を達成。剛性も強化して音や振動を抑制し、電動車の魅力も高める。
ガソリン車は排ガス規制の厳格化などで価格上昇が見込まれる。日産は24年にも次世代電動ユニットを搭載したHVを投入し、26年にガソリン車と同等の車両コストを実現。EVでは同ユニットの搭載とともに全固体電池の採用などで、30年までに車両コストをガソリン車並みに引き下げる方針。各国で異なるEVシフトの速度に柔軟に対応し、26年度までに世界で電動車の販売比率を現状比31ポイント増の44%に引き上げる。
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