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半導体不足解消せず、2大市場に懸念材料…自動車業界トップが語る23年の見通し

半導体不足解消せず、2大市場に懸念材料…自動車業界トップが語る23年の見通し

自動車生産に影響を及ぼしてきた半導体不足問題は、年内いっぱい残りそう

自動車産業の不透明感が増している。2023年は新型コロナウイルス感染症拡大からの回復が期待されるが、世界的なインフレ、中国での爆発的なコロナ感染、長引く半導体不足の影響などが懸念される。脱炭素に向け電動化への対応なども求められる。日本自動車工業会(自工会)など関連5団体が、コロナ禍での自粛を経て3年ぶりに都内で開いた賀詞交歓会で、各社首脳に23年の見通しや課題を聞いた。(特別取材班)

完成車メーカー各社、長引く半導体不足など懸念

23年の景況感を見通す上で、完成車メーカー各社の首脳からまず挙がったのが、長引く半導体不足の問題だ。トヨタ自動車の内山田竹志会長は「サプライチェーン(供給網)の問題、特に半導体不足が解決していない。全体では余っているのに自動車だけが不足している少し悔しい状態になっているが、半導体メーカーも急には解消できない。厳しい状態はまだ続くだろう」と話す。ほかにも「根本的には解消されておらず、今年いっぱいは厳しいのではないか」(スズキの鈴木俊宏社長)、「半導体不足の解消は見通しが立っていない」(SUBARU〈スバル〉の中村知美社長)との声が相次ぐ。ホンダの三部敏宏社長は「今年いっぱいは影響が残るとみている。できるだけ多く半導体を確保して車を作りたい」と話す。

自工会など自動車5団体は、3年ぶりに都内で賀詞交歓会を開いた

自動車にとっての2大市場である米中の景気後退リスクや、電動化やコロナ対策をめぐる政治情勢も懸念材料。米国では電動車の生産や調達に制限を課す、インフレ抑制法案が成立した。対応についてスバルの中村社長は「米国での生産拡大は検討していない。現地の人件費の高騰や生産コストなどさまざまな要素を比較して判断した。国内で立ち上げる電気自動車(EV)用バッテリー工場の計画も法案で変わることはない」と強調する。またホンダの三部社長は「(優遇措置が)国内外からの意見を受けて、どのように修正されるのか注視する。当然、対応策も考えている」と話す。

これらの状況をふまえ日産自動車の内田誠社長は「23年の事業環境は厳しいと見ている。コロナ禍が収束しても以前のような事業環境には戻らないだろう」と指摘する。

トヨタの内山田会長も「マーケットは落ちるだろう」との見方を示す。ただ「まだ需要に対して供給しきれておらず、フル生産してもカバーできない状態」と、実需と生産の乖離(かいり)を指摘する。その上で「マーケットは政治やコロナ対策の内容によっても変化する。あまり一つひとつの要素に振り回されないようにしたい」と話す。ホンダの三部社長も「米中の経済動向によって我々のやることが変わる訳ではない。粛々と計画通り進める」との方針を示す。

混迷する社会情勢や業界動向を受け「垣根を越えて業界の価値をどう高めていけるか考えながら、協調と競争の路線を組み合わせて日本の競争力を出していくことが重要だ」(日産の内田社長)。「会社の壁を乗り越えてオールジャパン的な動きをさらに加速し、日本の自動車産業が成長していけるようにしたい」(トヨタの内山田会長)との声も相次いだ。

【続き】部品各社の声は…

日刊工業新聞 2023年01月11日「深層断面」一部抜粋

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