「ジューク」「キャシュカイ」は欧州でEV専用車に、日産の電動化戦略の本気度
日産自動車は27日、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)など電動車の戦略を加速すると発表した。2030年度までにEV19車種を投入し、30年度に発売する新車のうち55%を電動車モデルにする。21年に発表した従来戦略では30年度までにEV15車種の投入、同年度の電動車比率を50%としていた。ソフトウエアを更新して車の機能を高めるソフトウエア定義車両(SDV)では25年にも大幅に性能を高めた車両を投入する。
EVシフトが加速する欧州市場ではEV「リーフ」、小型スポーツ多目的車(SUV)「ジューク」、SUV「キャシュカイ」の次期型車をEV専用車として投入。26年度までの電動車の販売比率を従来戦略の75%から98%に引き上げる。
米国市場では26年以降にセダンとSUVそれぞれ2車種ずつ計4車種のEVを投入。現地メーカーのEVが人気の中国市場では、24年に同国専用のSUVタイプのEVを投入して対抗する。一方、同国では排出ガス規制強化が先送りされたことから、26年度の電動車販売比率を同40%から35%に引き下げる。
駆動装置(パワートレーン)では20年度の49種類(うち電動車4種、ガソリン車45種)から30年度に19種類(同3種、同16種)に削減。電動化に伴う投資を効率化し、設備投資を含めた研究開発費を毎年売上高の7―8%以内に抑える。
電動車の部品調達では現地化も進める。特に米国では22年に「インフレ抑制法」が成立し、北米製などの要件を満たしたEVには最大7500ドル(約100万円)の税控除を受けられるようになった。日産は米国2工場に計7億5000万ドルを投じてEVや基幹部品の生産体制を整備。26年までに北米を中心にEVの電池や部材を含めた供給網を構築し、同法に対応する。
SDVでは車載ソフトを日産が独自に開発し、米国のアマゾンやマイクロソフトなどと協業する。25年には自動運転技術の更新やゲームといった個人に特化したコンテンツの提供などが可能なSDVを開発。アシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は「商品と技術にサービスを加えた価値を提供する」と述べた。
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