子育て世代が圧倒的支持、赤ちゃん本舗の安全への思い
国内124店舗を展開する創業90年の老舗小売り企業。衣類から乳幼児用の食品・飲料、玩具、ベビーカーなど幅広い品揃えで子育て世代から圧倒的な支持を集めている。この期待に応えるためには、社会の変化に伴い進化・高度化するニーズに対応し、高品質・利便性ある商品を提供し続けなくてはならない。言葉を発しない赤ちゃん向け商品を販売するだけに、安全安心は大前提。その対応が顧客の満足度を向上させてきた。
安全対策について赤ちゃん本舗の野口福太郎CSR推進部長は「消費者が求める品質の要求レベルは高く、それに応えてきた当社への期待を強く感じる。創業以来、安全への思いが企業風土に根付いているが、それを可視化させ基準を体系化させる必要があると判断し自社基準を定めた」と説明する。
具体的な安全性への取り組みとして「品質管理標準」と「品質管理基準」を2007年12月に策定。前者はルールブック的なもので取扱商品に関する法令や安全性などを明記。後者は商品の安全性を確認する試験方法の知見を収集し、品群ごとに数値化し基準を定めた。「セブン&アイ・ホールディングスへのグループ入りのタイミングで、CSR(企業の社会的責任)や品質管理の機運が社内で高まった結果、一気に可視化が進んだ」と話す。
製品事故に対する情報の収集・分析には細心の注意を払う。関係先との情報共有や類似商品の事故防止策の確認のほか、必要に応じ消費者に注意喚起する。また、繊維製品は、第三者機関に生地・製品試験や試験データの内容確認を依頼しており、その結果をウェブ上で見られるようにすることでメーカーとの情報共有を図っている。販売者である赤ちゃん本舗とメーカーが同じ目線で商品の安全性を把握でき、安全性を確保した中で製造することでタイムリーな販売を可能にしている。
こうした安全への取り組みの中でも、取扱商品のリコールが発生するリスクはある。万が一の事態では、ウェブや店頭での告知のほか、会員情報で得られる対象者に、はがきでのお知らせや自社アプリケーションから通知する。さらに特定商品は、購入者による誤使用や不注意による破損などメーカー保証の対象外でも一部の損害を補償するなど、販売する商品に責任を持つ企業姿勢がうかがえる。
今後の取り組みについて野口部長は「お客さまとの接点をより深めながら安全性を確保し、情緒・機能の両面の価値を追求していく」と語る。その流れは、少子高齢化社会が進み変化する市場にも対応する。高い基準で要求される赤ちゃんの安全性に対応してきただけに、その展開は、保育園や高齢者施設などで浮上する社会的課題の解決につながる。
【会社概要】
▽設立=1941年(創業1932年)
▽代表者=味志謙司社長▽所在地=大阪市中央区南本町3の3の21
▽従業員数=3697人
▽事業内容=マタニティ・ベビー・キッズ用品の販売、サービス・情報提供
▽URL=https://www.akachan.jp/company/
製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)
製品安全に積極的に取り組む製造事業者、輸入事業者、小売販売事業者、各種団体を企業単位で広く公募し、厳正な審査の上で「製品安全対策優良企業」として表彰する。各企業が扱う製品自体の安全性の評価ではなく、製品安全活動に関する取り組みを評価する。受賞企業・団体は「製品安全対策優良企業ロゴマーク」を使用し、製品安全対策の優良企業・団体であることを宣伝・広報できる。