地域の電気店が製品安全の考え方を一変させられたリコール

PSアワード経産大臣賞を受賞

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事故を防ぐため安全な使い方を丁寧に説明している

カイノ電器は、高齢者の事故防止に向けた訪問活動や製品安全を意識した仕入れ販売、製品トラブルなどの自社検証とメーカーへのフィードバックの継続、さまざまなステークホルダーへの製品安全に関する情報の発信が評価され第15回製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)で経済産業大臣賞を受賞した。

「お客さまは販売員の説明に納得し、店を信頼して製品を購入してくれる。その期待を裏切ることはできない」とカイノ電器の海野晋社長は強調する。創業95年を経た同社は、ラジオ販売からスタートし常にニーズを捉え、顧客の満足度を向上させる展開で、厳しい時代を乗り越えてきた。それでも製品の安全はメーカーの責任という考え方がどこかにあった。

それを一変させたのが2005年のFF式石油暖房機のリコールだった。ある顧客から販売責任を厳しく追及された。「辛い経験でした。今こそお客さまの信頼に応えなければいけない。安全はメーカーだけではなく我々も担うべきだ」と発想を変えた。ここから販売者としての安全対策を始めることになった。そこに「損得勘定はない」と言い切る。

高齢者訪問で事故防ぐ

地域の電気店として同社は、社員が顧客を定期的に訪問する〝ご用聞き〟を得意技としてきた。この仕組みを活用して、訪問時には顧客が製品を安全に使用しているのかを確認し、使い方の不便さ疑問などを聞きとる。操作性やメンテナンスのしやすさなどに着目した製品を仕入れるなど、使う人の安全を意識するようにした。特に高齢者宅への訪問では、事故を防ぐため使用方法の確認と安全な使い方を丁寧に説明している。

顧客から寄せられる製品の不具合、誤った使用による故障などの製品トラブルを収集し、問題点を自ら再現するなど原因分析まで試みる。それらをメーカーにフィードバックするとともに、設計変更による問題解決を含めた提言を継続的に行う。それだけではない。製品事故防止にかかわる情報発信にも積極的に取り組む。

「ラジオから始まり今はインターネットと、情報ツールを提供してきただけに情報を伝える必要性を感じています」と話す。エアコンや電源タップの点検ポイントなどを解説する動画への出演や、小学生が製品安全を楽しく学べる冊子の配布協力、小学校への出前授業、県内だけでなく全国の電機商業組合員へ情報発信の協力を要請する。

「損得勘定はない」と海野社長

販売者として安全をどのようにとらえていけばよいのか。「究極的には売る側が使う人を選択することも必要ではないか」と将来の姿を展望する。人には個性があり、使い方も人により異なる。使いこなせない人へは「顧客のことを思い、売らない勇気も必要では」という。生活に利便性と潤いを与えてくれる家電製品だけに安全をどうのように売るべきか。そこに使う人を思いやる気持ちがある。

 
【会社概要】
▽設立=1926年
▽代表者=代表取締役社長・海野晋氏
▽所在地=山形県寒河江市
▽従業員数=14人
▽事業内容=家電小売・住宅設備・パソコン教室
製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)
製品安全に積極的に取り組む製造事業者、輸入事業者、小売販売事業者、各種団体を企業単位で広く公募し、厳正な審査の上で「製品安全対策優良企業」として表彰する。各企業が扱う製品自体の安全性の評価ではなく、製品安全活動に関する取組を評価する。受賞企業・団体は「製品安全対策優良企業ロゴマーク」を使用し、製品安全対策の優良企業・団体であることを宣伝・広報できる。

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