PSアワード審査委員長に聞く、製品安全の意義とコストの考え方

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PSアワード審査委員長を務めた三上喜貴氏(開志専門職大学副学長)

製品安全に対する企業の取り組みが安全・安心な社会をつくり、企業価値向上にもつながる。経済産業省は企業や団体の製品安全に関する優れた取り組みを表彰する「製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)」を設けている。4回連載で製品安全の重要性を述べるとともに、「第15回PSアワード」で経済産業大臣賞を受賞した企業の先進的な取り組みを紹介する。1回目は産業構造審議会・製品安全小委員会委員長で今回のPSアワード審査委員長を務めた三上喜貴氏(開志専門職大学副学長)に製品安全の意義を聞いた。

―サステナビリティ(持続可能性)と安全の関係をどう考えますか。
 「我々の世界は人間、自然と人工物からなっている。自然には人間以外の全ての自然の創造物を含み、人工物は工業製品や構造物など人間が作り出した全てを指す。自然の関わりについての課題は何かと問えばサステナビリティということになり、人工物の関わりについての課題は何かと問えば安全と安心ではないか。豊かな暮らし、便利な暮らしを求めて人間はさまざまな人工物を作ってきた。現代人はほとんど人工物に囲まれて生活していると言ってよい。家電製品であれ、公園の遊具であれ、薬であれ、自分で創り出した人工物が安全・安心を与えてくれないのでは創り出した意味がない」

―安全にかかるコストをどう考えるべきですか。
 「規制を遵守し製品安全に取り組むのは企業として当然のことだが、安全を追求していく努力をコストと見るのは短絡的だ。アダムスミスは、徳に反する商売は公平な観察者(消費者)によって市場から排除されると述べた。安全・安心でない商品は最終的には消費者によって市場から追い出される。このことは日本の企業の皆さんは十分に分かっていて、企業活動の原動力になっている。消費者が喜ぶ製品を作ることは従業員の働きがいになり生産性向上にもつながる。また日本の国際競争力の源泉でもある」

―製品安全の取り組みは、企業価値の向上につながるということですか。
 「その通りだ。近江商人の活動理念『買い手よし、売り手よし、世間よし』に通じるものがある。製品安全に必要なものは何かを考える姿勢と行動が、消費者に満足を与え、それが企業に戻ってくる。このサイクルを回しながら、より高めていく流れの中で企業価値は必然的に向上する。顧客からの信頼なしに企業は存続できない」

―PSアワード審査委員長として企業の製品安全への現状をどう見ていますか。
 「製品安全に取り組む優秀企業を顕彰し15年が経過した。この間、企業の中で着実に『製品安全文化』が浸透してきている実感がある。応募企業のすそ野の広がりが顕著だ。製造業だけでなく流通業や中小企業の積極さが見られ、さらに地域に根ざした取り組みなど多彩な展開で力強さを感じる。新しい日本の産業力が、ここから生まれてくるだろう」

製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)
製品安全に積極的に取り組む製造事業者、輸入事業者、小売販売事業者、各種団体を企業単位で広く公募し、厳正な審査の上で「製品安全対策優良企業」として表彰する。各企業が扱う製品自体の安全性の評価ではなく、製品安全活動に関する取り組みを評価する。受賞企業・団体は「製品安全対策優良企業ロゴマーク」を使用し、製品安全対策の優良企業・団体であることを宣伝・広報できる。

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