特需一服のパソコン、新規顧客を開拓できる付加価値はどこだ

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NECパーソナルコンピュータのゲームプレー向けPC(ディスプレーは別売り)

パソコン(PC)メーカー各社がオンラインゲーム愛好者向けやオンライン会議に適した製品など、付加価値の高い商材の拡販に力を注いでいる。学校教育をデジタル化する政府の「GIGAスクール構想」や、コロナ禍での在宅勤務の増加に伴って発生したPC需要が一段落し、出荷台数が減少していることが背景にある。各社はこうした“特需”に対応するだけでなく、新たな顧客層の開拓が求められ続ける。(阿部未沙子)

電子情報技術産業協会(JEITA)によると、2022年4―6月期の国内PC出荷台数は前年同期比13・5%減の157万4000台となった。MM総研(東京都港区)の調査でも20年度の国内PC出荷台数は過去最高の1728万3000台を記録したものの、21年度は1158万3000台に減少した。

NEC、ゲーミングに手厚い支援

こうした中、NECパーソナルコンピュータ(同千代田区)は個人向け市場に着目する。7月にオンラインゲーム人気の高まりを踏まえて約24年ぶりにゲーミング市場へ再参入すると発表し、ゲームプレーPCの新製品を同月発売した。

同社は、かつてゲームに熱中していた世代や、1990年代後半以降に生まれたZ世代などを対象に新製品を展開したい考え。問い合わせへのきめ細かい対応など、手厚いサポート体制を整備することで拡販を目指す。河島良輔執行役員は「PC本体だけでなく、PCの周辺機器やソフトウエア、ゲームなどをうまく連携し、業界全体の発展に寄与したい」と意気込む。

日本HP、オンライン会議円滑に

一方、日本HP(同港区)は法人向けの提案を強化する。コロナ禍でオフィスでの勤務とテレワークを併用する企業が多いものの、会議室にいる人と在宅勤務者をつなぐオンライン会議に課題があると認識。「相手に自分の声がただ聞こえていればよいのではなく、理解されていることが大事」(九嶋俊一専務執行役員)とし、円滑な会話を実現する観点で、コントローラーやカメラといった周辺機器を10月から順次発売する。

オンライン会議の生産性向上のため、日本HPは周辺機器の新製品を投入する

コントローラーはマイク、スピーカー、操作パネルが一体となった機器。人工知能(AI)を活用したノイズキャンセリング機能を搭載し、課題だった声の聞き取りにくさを軽減する。また話者の顔を拡大する機能「ピクチャーインピクチャー」を備え、表情を把握しやすくした。

従来、PCの出荷が伸びていた背景にはGIGAスクールやテレワーク以外に、米マイクロソフトが基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7」のサポートを20年1月に終了したこともある。PC各社はこうした手堅い需要に対応しつつも、付加価値の高い製品の提供や新市場の開拓を続ける姿勢が求められる。

日刊工業新聞 2022年8月18日

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