NECと富士通、「5G基地局」オープン化を深耕するそれぞれの戦略

  • 1
  • 4
NECが英国に開設したオープンRAN導入をグローバルに支援する「事業開発拠点(CoE)」

NECと富士通は、欧米など海外の通信事業者による第5世代通信(5G)サービスの本格展開に合わせ、基地局市場のオープン化を深耕する。両社はスペインで開催中のモバイル関連の国際展示会「MWCバルセロナ2022」において、基地局の制御部(CU/DU)と無線機(RU)の間をつなぐ共通仕様「オープンRAN」準拠で先行した実績をアピール。垂直統合型の既存の基地局市場に新風を吹き込む。

今年のMWCの期間は2月28日から3月3日まで。NEC、富士通は装置ベンダーとして参加。オープンRAN準拠で世界に先駆けた国内市場での実績を武器にグローバル市場で攻勢に転じる。

NECは開幕初日に森田隆之社長がオンライン講演に登壇。NECが目指すグローバル5Gの事業モデルや、差異化の目玉とする高性能のRUなどについてインタビュー形式で語るとともに「マルチベンダー環境において、システムを確実に稼働させるにはインテグレーションの力が重要だ」と強調。NTTドコモや楽天モバイル向け大規模案件の稼働実績を例に挙げ、「信頼できるパートナー」としての存在感を訴求した。

NECは基地局の海外展開に向けて、2020年にオープンRAN導入をグローバルに支援する「事業開発拠点(CoE)」を英国に設立。さらに英ボーダフォングループや独ドイツテレコム、スペインのテレフォニカなどの海外通信事業者との実証実験や商用案件でのベンダー選定を受けている。

富士通は展示会場に大規模ブースを設け、オープンRAN準拠の「5G仮想化基地局(CU/DU)」に加え、6G向けのテラヘルツ(テラは1兆)技術や光伝送技術などを紹介。担当の水野晋吾執行役員常務は「25年には世界のRAN市場全体の20―30%がオープン化する」と言及。2日にはオープンRANをテーマにNTTドコモ、米ディッシュ、米エヌビディアの経営幹部らと討論会も開く。

新開発の仮想化基地局は人工知能(AI)を用いて、ユーザーの利用状況の変化を予測し、設備単位で最適化する。さらに、組み合わせ最適化問題を高速で解く量子インスパイアード技術「デジタルアニーラ」も活用。多数の基地局の電波が重なる環境下で、RUとCU/DUとの多様な組み合わせから、最適な接続先を高速に導き出すことで、消費電力の大幅削減による環境負荷低減を実現する。

富士通はNTTドコモ、KDDI、ディッシュと国内外でいち早く商用装置を納入したほか、ドイツテレコムや韓国KTともベンダー選定や評価を受けている。これ以外に通信事業者8社などともプロジェクトが進行中。オープン市場をリードする上で、NEC、富士通とも仲間作りをどう進めるかが注目だ。

日刊工業新聞2022年3月2日

キーワード
NEC 富士通

関連する記事はこちら

特集

このサイトでは、アクセス状況の把握や広告配信などのためにクッキー(Cookie)を使用しています。オプトアウトを含むクッキーの設定や使用の詳細についてはプライバシーポリシーページをご覧ください。

閉じる