「四足歩行ロボ」が1時間で歩き方を学ぶ、スゴいAIプログラム
米カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)などは、四足歩行ロボット(写真)がシミュレーションなしに、自ら歩き方を学習する人工知能(AI)プログラムを開発した。知識ゼロの状態から、現実世界での試行錯誤や経験を通してわずか1時間で前に歩くことを学んだという。
実験に使われたソフトウエア基盤はオープンソースとして公開の予定。成果はプレプリント論文サイトのarXiv(アーカイブ)に掲載された。
この研究では深層強化学習でロボットが動作を学習する一般的なやり方と異なり、シミュレーションを使わない。シミュレーションだと現実世界の複雑さを再現できず、ロボットが現実の変化に適した動作をとるのが難しいためだという。
そこで「Dreamer」と名付けた強化学習アルゴリズムを4種類の異なるロボットに適用。アルゴリズムが世界モデルを学びつつ周囲の環境がどう振る舞うかを予測し、動作や行動による将来の結果を推測させた。実環境での計画立案や試行錯誤の時間短縮につながるとしている。
うち中国ユニツリーロボティクスの犬型四足歩行ロボットを使った実験では、歩行の知識ゼロで裏返しの状態からスタート。しばらく足をばたつかせた後に立ち上がり、1時間で歩行をおぼえた。人間が棒で押して倒してもすぐに立ち直り、歩き始めることを10分で習得した。
このほか、協働ロボットと低価格アームロボットを使い、画像を見て皿の中の物体を別の皿に移す作業や、上からの映像をもとに円筒形のトイロボットにゴール地点に到達するタスクをシミュレーションなしで学ばせることができたという。
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日刊工業新聞 2022年7月21日