四足歩行ロボ「ハチ」と「ラッシー」が大成建設の現場管理業務を担う

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中・大規模な現場での利用を想定したラッシー。段差20cm程度の階段を上り下りできる

大成建設の四足歩行ロボットが、建設現場を巡視し作業員に代わり現場管理業務を担っている。小型で遠隔操作に対応しており、狭い通路や段差のある場所を走行しながら、施工状況のチェック、立ち入り禁止区域の安全確認、現場作業員への指示などの業務をこなす。事前設定したルートの自動走行も可能。カメラや双方向音声通話など複数機能を備え柔軟に対応する。(編集委員・山下哲二)

大成建設の四足歩行ロボットは、小型サイズの「ハチ」と中型サイズの「ラッシー」。ロボティクス・ソフトウエア事業のTechShare(テックシェア、東京都江東区)と、建設現場での品質確認や安全確認などを遠隔で行うシステムを開発。これを量産型の四足歩行ロボットに搭載した。

本体重量はハチが12キログラム、ラッシーが19キログラム。最大歩行速度はそれぞれ秒速3・3メートル、同1・5メートルとなっており、最大連続稼働時間は標準モデルでそれぞれ60分、210分。ハチは比較的小規模な現場での利用を想定している。ラッシーは中・大規模な現場を想定しており、段差20センチメートル程度の階段を上り下りできる。

ロボットには、現場全体を見渡す360度カメラ、検査用高性能ズームカメラ、遠隔操作に必要な揺れ補正機能付きカメラ、予備バッテリーなどをユニット化して搭載している。また作業員に指示するための双方向音声通話機能、工程の進捗(しんちょく)確認や作業員の不安全行動を監視するパトロール機能も備える。

ノートパソコンなどにつないだコントローラで、専門知識のない作業員でも3画面モニターを見ながら操作できる。

ロボットを介した作業員への指示出しなどでは、遠隔操作が必要になる

通常、建設現場の巡視による確認作業は1日三回程度。朝は作業前の点検、昼は進捗状況の確認、夜は作業後の点検を実施する。人が行ってきたこれらの作業をロボットが担う。

中谷晃治大成建設生産技術イノベーション部部長は「初めはロボットに戸惑う作業員もいたが、離れた現場から円滑なコミュニケーションがとれ、作業指示や安全な装備の確認などでも役立っている。特にロボットの撮影データが重要になる」と話す。特に施工状況の確認業務で効率化を実現したという。

高額なロボットを実用化し普及させるのは難しい。償却する費用や維持費、メンテナンスなどの負担もある。使用できるのが大規模現場に限られるなどの制約があり、複数台の導入も難しくなる。

こうした中、大成建設はカメラ、センサー、スピーカーなどの搭載機器の組み合わせでノウハウを蓄積。それを生かし建設業の実情に沿った形で四足歩行ロボットを開発した。

中谷部長は「単純な作業や点検は自律走行機能のみでカバーできるが、危険回避などの指示を出すといった活用では遠隔操作機能が必要になる。これら二つの機能のハイブリッド運用が適している」と説明する。状況に応じた使い分けでもロボット活用のノウハウを蓄積し、次の開発に生かす考えだ。


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日刊工業新聞 2022年3月22日

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