トヨタ系部品メーカーが協働ロボットの本格導入に乗り出した!

愛三工業がロボット活用の土壌作り

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協働ロボと社員が作業空間を共有することを目指した

愛三工業が本格的な協働ロボットの導入に乗り出した。自動車部品サプライヤーではリスクアセスメント(危険性などの調査)策定が壁となり、協働ロボットを導入しにくい現状がある。同社は30回以上の社内説明会を開催するなど安全管理の周知を徹底し、わずか3カ月という短期間でアセスメントを策定。半導体不足や車の電動化など、刻々と変化する生産にロボットで柔軟に対応する土壌づくりを進める。(名古屋・川口拓洋)

「協働ロボットと人が作業空間を共有することを目指した」と話すのは、デジタル生技推進室の加賀宇泰祐第2グループ長。2021年3月に幹部向け説明会を開き、6月にはリスクアセスメントを策定。9月に協働ロボット1台を燃料蒸気ガスの排出を抑制する部品「キャニスター」の生産ラインに投入した。

導入に向けて全てが順調だったわけではない。加賀宇グループ長は「(協働ロボットは)危ないという固定観念があった。産業用ロボットの方が良いという意見も根強い」と説明。議事録が残るだけでも会議室で15回、現場で15回の説明会を実施し、生産技術部門や製造部、安全衛生担当などの説得に努めた。最大の狙いは理解を深めてもらうこと。「当社の目線に合うよう指針も一からつくった」と述懐する。

同社が協働ロボットの導入を模索した背景には、半導体不足などによる生産数量の乱高下がある。生産調整をすると仕事量が1・3―1・5人分など半端な工数になるケースもあり、例え0・5人分でも作業者としては1人分必要。リソースの適正配分という観点から人と同じ空間での稼働が可能で、柔軟に作業を変更できる協働ロボットが適していた。

多数の導入説明会を実施するなど同社にとって異例づくしの中、協働ロボットの導入にこぎ着けたのは2―3年前から進める改善活動「MMK(もっとモノづくり強化)」の浸透が大きい。これはトヨタ自動車がサプライターと行う原価低減活動である「スマートスタンダードアクティビティ」の愛三工業版。品質の最適化や競争力強化などレベルの高いモノづくりをするため「率直な意見が言える土壌」(同)が生まれていた。

キャニスターラインではサイクルタイムを35秒から30秒に短縮するなど一定の効果が出ている。今後は双腕ロボットや自律移動ロボット(AMR)などの導入も検討する。キャニスターなど既存製品の自動化・効率化を加速。変動する生産への対応だけでなく、収益性を高め、その原資を新たな柱となる電動化向け製品の開発・製造などに振り向ける好循環を創出する。

日刊工業新聞2022年7月6日

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