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横河電機の“複”業制度、人財開発部長が明かす導入の理由

横河電機は、社内における“複”業を認める「クロスジョブチャレンジ」制度を設けている。所属する部署の業務はそのまま継続しながら、他部門での業務にも自発的に挑戦できる仕組みだ。2020年度にトライアルを実施し、21年11月から本格的に運用を始めた。道浦陽人財総務本部国内人財統括部人財開発部長は「職場を一つだけのところでやっていると、経験を広げることができにくい」と理由を明かす。

横河の主力は制御事業だが、それ以外にも関連する部署を多数抱える。そのため一つの部署に留まるより、関連している仕事も幅広く経験している方が新たなビジネスや成長ビジョンに気付く機会が得られやすい。だが従来の人事制度のキャリアパスでは、そのようなニーズに応えるには限界があった。

「製品企画をする人が販売を経験したいと言っても、これまでは部署そのものを異動するしかなかった」と道浦部長は指摘する。いざ異動となると、やはり心の踏ん切りがつきにくく、社員も手を挙げにくかった。そんなハードルを下げるためにも、現業を継続しながら他部署の仕事も経験できる複業の枠組みを作ることはできないのかと、新たな制度を求める声が高まっていた。

そこで20年度にトライアルを実施。新制度はパナソニックなど他社ですでに導入しているケースを参考に制度設計した。トライアルの結果、「肯定的な意見が多かった」(道浦部長)ことから、21年度の本格実施にこぎつけた。

クロスジョブチャレンジ制度ではまず25件のポジションを対象に、21年9―10月に社員へ募集を始めた。

複業期間は原則6カ月以内とし、具体的な日数は複業先の部門との協議で決める。あくまで現業に軸足を置き、複業先での勤務を30%以内に抑えることを条件に据えている。道浦部長は「挑戦してほしいというのを含めて、自律的にやっていくことを目指している」と強調。新たな挑戦を促す風土を新たな人事制度を通じて作っていく。

日刊工業新聞 2022年3月31日

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