役職定年を撤廃、20代で管理職…リコーが人事制度刷新の狙い
リコーは4月に管理職の役職定年を撤廃する。従来役職定年は原則57歳だった。60代でも継続して役職を継続できるようにする。加えて20代の若手社員でも管理職に手を挙げられるようにする。従来管理職に登用されるのは、早くても30代前半が通例だった。今回の人事制度の刷新は、4月に導入予定の「リコー式ジョブ型人事制度」の一環。実力や意欲に基づき、機動的な適所適材による登用を行えるようにする。
リコーでは60歳以降はシニア人材として65歳まで働けるものの、一部の例外を除き、これまで57歳以降は役職を退いていた。ジョブ型ではジョブ(仕事)を遂行する適材を登用することが前提。年齢に基づき解任する思想は適さないと判断し、役職定年を撤廃する。
一方、組織の若返りによる持続的な組織運営のためには、新陳代謝を促す仕組みが不可欠。若手を管理職に抜てきしやすくするため、昇格試験を廃止。20代半ばの社員でも意欲と実力次第で、期間限定の新規プロジェクトのマネージャーに登用したり、課長職に抜てきできるようする。
シニア活躍と若手抜てきを促進するが、総人件費は変えない。新制度では報酬の分配方法を変更する。
リコー式ジョブ型人事制度は現在担っている職務に応じて、報酬が変動する。これまでは格付けされた資格に基づき、報酬が決まっていた。
細かいグレード(等級)分けは行わず、グレードをグループ化し、その幅の中で評価する。報酬レンジを広く設けることで、ジョブと報酬の連動性を確保しつつ、配置・異動の柔軟性を担保する。
リコー本体に所属する従業員8000人に導入する。順次対象を広げる。専門職の専門性を明確にしてキャリア形成をしやすくする狙いもある。
同社はペーパレス化などに伴い事務機器市場が低迷する中、デジタルサービスの拡大に力を注ぐ。デジタルサービスに必要な能力とスキルが絶えず変化する中、自主的に実力を磨く人材の育成を重視。必要な人材が活躍できるようにする。
国内ではNECが管理職の役職定年の撤廃を含めた人事制度の刷新を進めるなど、事業戦略に即した人材配置を進める動きが広がっている。