社外転進3000人超が応募、富士通はなぜ今人材施策でアクセルを踏むのか

  • 0
  • 13

富士通は「IT企業からデジタル変革(DX)企業への変革」に向けて、肝となる人材施策で再びアクセルを踏み込む。ジョブ型人事制度や適所適材の人材施策などに続いて、社外への転進を支援する「セルフ・プロデュース」制度を拡充。国内グループ会社を含む50歳以上の幹部社員向けに期間限定で早期退職金の割り増しなどを提案し、2月末までに3031人が応募。2022年3月期連結決算(国際会計基準)で650億円を営業費用に計上することを決めた。(編集委員・斉藤実)

今回の費用計上に伴い、2022年3月期の連結業績予想を下方修正し、営業利益が1月公表比650億円減(前期比21・1%減)の2100億円、当期利益が450億円減(同21・1%減)の1600億円を見込む。本業ベースでの収益は1月公表時と変わりなく、売上高の修正はないものの、22年3月期は増収増益予想から増収減益へと暗転する。

注目は、今回の人事施策がこのタイミングとなった背景だ。セルフ・プロデュース支援は19年に45歳以上で2850人が応募したことで話題となった。今回は50歳以上に絞ったのが特徴。

富士通はここ数年、欧米を中心に海外拠点の再編で大なたを振るってきた。海外事業の改革が一巡し、次はグループ会社を含め国内事業の一段の体質改善が問われている。

このタイミングで450億円を費用計上した背景は、そこにある。22年度が中期経営計画のゴールであり、財務指標の達成という意味で節目となる。だが、そこは通過点であり、その先の23年度に、時田隆仁社長の指揮で新たなスタートを切るための地固めの年となる。22年度は、23年度以降の新中計を策定する年でもあり、一連の人事施策を通して、中長期に向けた体質強化をいかに加速するかが急がれる。

富士通は従業員の自律的なキャリア形成を促進するとともに、グループ全体での人材の流動性を高めるため、スキルチェンジや適所適材の最適配置を矢継ぎ早に行い、事業部にまたがるポスティング制度やリスキリング支援も積極化している。

営業職については業種の枠を超えたクロスインダストリーでビジネス提案できる「ビジネスプロデューサー」への変革を推進し、このほど国内グループの全営業職約8000人への研修を完了した。 時田社長は、19年度の登板の際に「会社の“形”が変わってきたので、次は“質”を変える」といって船出した。だが、完成形はなく、最近は「形を変え続ける」と言及している。形も質も改革に終わりはない。

日刊工業新聞2022年3月10日

キーワード

関連する記事はこちら

特集

このサイトでは、アクセス状況の把握や広告配信などのためにクッキー(Cookie)を使用しています。オプトアウトを含むクッキーの設定や使用の詳細についてはプライバシーポリシーページをご覧ください。

閉じる