社員の成長支援制度を拡充したTIS、人事部長が明かす背景
TISは社員の自発的なキャリア形成を尊重する成長支援制度と、自己実現を支援するライフステージサポート制度を拡充した。2021年度から3カ年の中期経営計画では、社会課題解決型ビジネスの推進を掲げる。多様な経験・背景を持つ人材が活躍できる環境を整え、事業を拡大する。
「これまでシステムインテグレーター(SIer)の仕事は企業の請負が中心だった。社会のデジタル変革(DX)が進む中、IT技術の取得だけでなく、これまでにないビジネスモデルを作る構想力、実行力が求められている」。執行役員の高柳京子人事部長は、成長支援制度拡充の背景をこう話す。
21年度からは多様な経験や幅広い技術を習得するための短時間勤務、休職制度を追加。大学での学びや資格習得を希望する社員が通算2年の休職、もしくは時短勤務を選択できるようにした。他社での兼業やボランティアなど、社会貢献活動への参加のため、通算1年の休職、同2年の時短勤務も可能。1月時点では97人が兼業を行っている。
多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境の整備にも注力する。20年度には、同性婚や内縁などの婚姻形態にかかわらず、出産や育児、介護に関連する休業などの各種制度を利用できるようにしている。
21年度からは、性自認に違和感のある社員を対象とした「ジェンダートランス休暇・休職・時短制度」も追加。ホルモン療法や手術などでの活用を想定する。現時点で同制度の活用事例はないものの、「全ての社員が働きやすい環境作りのため、先行して取り組む姿勢が社員からも評価されている」(細谷悦子ダイバーシティ&インクルージョン推進室長)という。
TISでは「社員が新たなことにチャレンジしやすい環境を整備するため、評価・報酬制度の刷新も計画する」(高柳執行役員)。制度の高度化を進め、人材の先鋭化・事業拡大を実現する。