多様な人材活躍できる人事制度の構築図るジーテクト、社長の意気込み
ジーテクトは多様な人材が活躍できる人事制度の拡充に取り組んでいる。「新型コロナウイルス感染拡大や気候変動への対応などが求められる中、会社の変革が必要」(吉沢勲取締役専務執行役員)との考えからだ。
人事制度の構築にあたり、重点的に取り組んでいるのが「女性社員の活躍推進」と「中途採用者の活用」だ。2017年度からは管理職の後任育成候補に必ず女性を入れている。19年4月には「ダイバーシティ推進委員会」を発足。同時期に、同社初となる女性管理職が5人誕生した。吉沢取締役専務執行役員は「(先駆けて新たな取り組みをする)ファーストペンギンの役割を期待した。ロールモデルとして活躍している」と手応えを感じている。
女性社員の意識付けに向けた研修も実施。女性社員に占める管理職の割合は16年度の0%から20年度には4%になった。
外部からの人材登用や、職務を明確にして報酬と対応させる「ジョブ型」の導入も進める方針だ。M&A(合併・買収)やデジタル、電動化対応に向けモーターなどに関する専門的な知見を持つ人材を採用、登用しやすくするのが狙いだ。
これに伴い、社内の等級や退職金制度の見直しも推進。従来は新卒採用が中心で制度が単一的だったため、退職金などに関し、新卒入社と中途入社の人に差が生じている。勤続年数だけでなく職務やスキルを反映して評価する制度を構築することで、優秀な人材の採用や定着に結びつける。
「既存事業の持続的な成長と新しい経営戦略には、人材のさらなる多様性が不可欠。そのためにさまざまな人材が活躍できる人事制度を構築し、常に進化する組織に変革する」と高尾直宏社長は力を込める。社歴や性別などにとらわれずに多様な人材が活躍できる環境を整えることで、100年に1度と言われる自動車業界への大変革期に立ち向かう構えだ。