コロナ治療薬開発へ、オミクロンに高い中和効果示した「モノクローナル抗体」とは?
イーベック(札幌市中央区、土井尚人社長)は、同社が開発したモノクローナル抗体が、新型コロナウイルス変異株のオミクロン株にも高い中和活性を示したことを確認した。近くデータを含めて論文発表する予定で、国内外の製薬企業数社とオミクロン株の治療薬開発に向けた話し合いを進める。
モノクローナル抗体は、人間の血液から採取した末梢血液を元にする。新型コロナに感染し回復した患者の末梢血液を使った場合、開発開始から2カ月弱で同抗体が完成するという。抗体開発で人の末梢血液から作り上げる例は世界的にまれで、通常はマウスなどによる実験を基礎にしているため薬剤開発には多くの時間を要する。
今後、イーベックがライセンスを供与した製薬企業が動物実験などを経て治療薬の開発に結び付ける。この抗体から予防薬や検査キットの開発など広い範囲での応用も可能だ。
イーベックは政令指定都市初の健康医療・バイオに特化した官民連携地域ファンド「札幌イノベーションファンド」から、第1号投資先として選定された。1月末時点で同ファンドは11機関から7億6000万円の出資を受けている。
日刊工業新聞2022年2月4日