後継者難倒産が止まらない!地域経済の衰退招く懸念
東京商工リサーチ(TSR)がまとめた調査によると、2021年1-10月の後継者難による倒産は前年同期比2・6%増の累計309件だった。年間最多だった20年の372件を超える可能性が出てきた。中小企業は代表者が経営全般を担うことが多く、死亡や体調不良など不測の事態が生じた場合、事業承継が難しい。業績悪化からの立ち直りの遅れを背景に、事業承継が経営課題になっている。
負債1000万円以上の倒産はコロナ禍の資金繰り支援策が奏功し低水準にとどまるが、後継者難による倒産は倒産全体の6・1%を占め、前年同期の4・5%から1・6ポイント上昇した。
後継者難倒産の要因としては代表者の死亡が164件で最多。体調不良と合わせると前年同期比9・3%増の258件で、全体の80%以上を占める。
産業別ではサービス業他が最多で同11・4%増の68件だった。5年連続で前年同期を上回った。製造業は同7・8%増の55件、不動産業は同2・1倍の21件。形態別では破産が同6・7%増の284件で1―10月としては最多を更新した。後継者難による倒産に占める構成比は91・9%で、1-10月では初めて90%台に乗った。
中小企業の後継者難は地域経済の衰退を招く可能性もあり、TSRは「事業承継への支援が急務」としている。
日刊工業新聞2021年11月12日