好業績で人員削減する“先行型”企業も…早期・希望退職が急増

雇用・働き方に新潮流

 早期・希望退職を実施する上場企業が増えている。東京商工リサーチによると、2019年1―6月に実施した上場企業は17社で、すでに18年(通年)の12社を上回った。募集・応募人数は18年の約2倍に当たる8178人に急増した。25日には日産自動車が世界で1万人規模の人員削減を発表する見通し。一方、産業界では技術革新を見据え、好業績のうちに人員削減する“先行型”もみられ、雇用や働き方に新潮流も起きている。

 19年1―6月は富士通やジャパンディスプレイ(JDI)などが経営立て直しを目的に大型リストラに踏み切った。今後、日産などの削減計画を含めると、19年の募集・応募は18年比4倍の1万人超に膨らみそう。

 早期・希望退職を行う企業の中には、人工知能(AI)やロボットの普及など未来社会を見据えた動きもある。

 他方、従業員の就業意識も変化している。組織に縛られず、インターネットを通じて単発の仕事を請け負う「ギグ・エコノミー」市場が活性化。同市場の就業割合は拡大し、年齢構成も40―50代にまで広がった。仕事を受発注するアプリケーションの充実や雇用形態にとらわれないベンチャーの増加を背景に、スキルの高い中高年がフリーランスとして働く場が増えている。

 政府も働き方の多様化を図るため、人材の流動性の改善や起業支援、社会人教育の整備を推進する。

 早期・希望退職が増えた主因は業績不振だが、一方でAIの普及やギグ・エコノミーの拡大なども背景にある。雇用や働き方の新潮流は終身雇用制度にも影響を与えそうだ。
             


日刊工業新聞2019年7月25日

  

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