【初心者向け】知っておいて損はない、リチウムイオン電池の基礎知識 市場動向編

ざっくりわかる!業界基礎知識 リチウムイオン電池・市場動向編

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蓄電池市場の動向に注目が集まっている。これまでスマートフォンなどが需要の中心だったが、世界的な脱炭素の流れで、電気自動車(EV)に搭載される車載用電池の需要が急拡大しているためだ。車メーカー各社によるEV開発・投入は続き、電池の安定供給を担う企業は、急ピッチで生産体制を強化している。

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総需要の8割が車載用に?

2030年の世界の乗用電動車向けリチウムイオン電池の需要は、20年実績値比で約15倍に達するとの予測もある。将来は、蓄電容量ベースで8割強を車載用が占めるとされる。現在、EVなどに搭載されているリチウムイオン電池は、リチウムのほか、ニッケルやコバルトなど数種類のレアメタル(希少金属)が使われる。そのため、急速な需要拡大は、希少資源の〝奪い合い〟を生み出しかねず、その影響はさまざまな産業に波及する可能性もある。

EVの電池パッケージ(日産リーフ)

リチウムイオン電池の普及

そもそも、電池には材料の組み合わせだけでも数十種類ある。化学反応で発生したエネルギーを電力に変換する「化学電池」のうち、繰り返し充電して使用できるものを「二次電池(蓄電池)」と呼ぶ。蓄電池の20年の国内販売額は8212億円(経済産業省「生産動態統計」)で、使い捨ての一次電池(922億円)の約9倍。蓄電池には約1世紀以上の歴史があり、鉛電池、アルカリ電池(ニカド電池、ニッケル水素電池など)からリチウムイオン電池へと、需要の中心となる電池は主役交代を重ねてきた。そしてリチウムイオン電池の登場は、蓄電池の大容量・小型化を加速させ、デジタル機器などの性能向上に大きく貢献した。

調査会社B3(東京都千代田区)による需要予測

開発者の一人である吉野彰氏がノーベル賞を受賞し注目されたように、日本の産業界はリチウムイオン電池の技術開発や国際標準化などで市場をリードしてきた。国内メーカーでは車載用電池を米テスラにも供給するパナソニックを筆頭に、スマートフォンなど民生用でTDKなどが一定のシェアを握る。

ただ、韓国メーカーが民生用のシェアを伸ばし、近年は車載用で中国CATLなどが急速に技術力をつけるなど、世界市場では日中韓を中心とする電池メーカーがしのぎを削っている。現在、成長期待が集まる車載用電池のシェア上位3社をCATL、LG化学、パナソニックが占めている。


・CATL(寧徳時代新能源科技、中国)
車載用電池で世界トップシェア(20年度)。19年からトヨタと提携するほか、ホンダ、日産とも取引するなど各国市場で存在感を高めている。

・LG化学(韓国)
車載用電池シェア2位で、スマートフォンなどの民生用にも強い。米GMと合弁会社を設立したほか、ポーランドに大規模工場を持つ。

・パナソニック(日本)
米テスラに高容量電池を供給する。また、20年にトヨタと車載用角形電池の開発・製造などを手がける合弁会社を設立するなど、国内メーカーとの関係を深めている。

・サムスンSDI(韓国)
車載用電池は欧州メーカー向けが中心で、ハンガリー工場への大型投資を継続中。スマホなどの民生用やエネルギー貯蔵システム(ESS)用も注力。

・BYD(中国)
中国のEVメーカー。最近は車載用電池の外販事業を拡大している。トヨタと車載用電池の供給で協業し、20年に同社とEV研究開発の合弁会社を設立した。

成長期待はEV以外にも

リチウムイオン電池は充放電を繰り返すと10年ほどで性能が3-4割落ちるといわれ、交換時期を迎える。流通量の増加に伴い使用済み電池の再利用やレアメタルの再資源化など、使用後のリサイクルまで見据えた関連市場の成長も期待できる。さらに、脱炭素の流れは市場全体の追い風になるとされ、太陽光発電や風力発電に付属する蓄電システム向けでも電池の需要拡大が見込まれる。

EV普及本格化に伴う将来の需要を取り込むには、電池メーカーは小型・大容量化に加え、供給網の整備やコスト抑制など、様々な要求に応える必要がある。また、需要予測には充電設備などインフラ整備の動向も無視できない。さらに最近では、民間各社で固体電解質を使用した「全固体電池」の開発が始まるなど、電池をめぐる状況は目まぐるしく変化している。

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