CATL日本法人社長に直撃、「日本国内の車載電池メーカーとの競合は避ける」

「日系メーカーが海外で展開する自動車への供給を目指す」

 中国の車載電池最大手、寧徳時代新能源科技(CATL)が日本に進出した。電動車開発が進む日系完成車メーカーとの取引を広げ電池事業を拡大する。日本法人のコンテンポラリー・アンプレックス・テクノロジー・ジャパン(CATJ、横浜市西区)の多田直純社長に今後の事業戦略などを聞いた。

 ―日本法人設立の狙いは。
 「日系完成車メーカーの電動車の開発支援を強化する。日系メーカーが中国市場に投入する日系メーカーの電動車に、電池を安心して使ってもらえるよう最適な提案をするのが使命だ。中長期では欧州や米国向けの電動車事業もサポートする」

 ―2017年に車載用電池の出荷量で世界首位になりました。急成長を遂げた理由をどう分析していますか。
 「独BMWとの協業や独ボッシュ、コンチネンタルなど部品メーカー出身の人材採用を通じて車載用電池の開発、生産プロセスを早い段階で構築できたのが大きい。昨年初めて工場を見た際に、大手とひけをとらないほど生産が自動化されていて驚いた」

 ―CATLの強みと電池の生産体制は。
 「完成車メーカーへ、ほぼ毎年エネルギー密度を高めた最新の電池を提案できることが強み。電池のインターフェースを共通化しておりユーザーは大幅な設計変更をせず商品価値を高められる。ただ従来の長期にわたる新車の開発プロセスでは、新車投入時に最新の電池を載せるのは難しい。車メーカーと今後の電動車開発の仕組みを考えたい」

 「生産面は中国で新工場が稼働予定で20年には年産能力を現状比2倍の50ギガワット時に高める。欧州も新工場を置く予定で、世界で安定して電池を供給する体制を整える。だが日本で電池を生産する予定はなく日系メーカーが海外で展開する自動車への供給を目指す。日本国内の電池メーカーとの競合は避ける」

 ―成長に向けた今後の課題と全固体電池の開発は。
 「課題は品質だ。CATLは若い会社。完成車メーカーのさまざまな指摘を真摯(しんし)に受けとめ電池開発や生産に反映することが一段の成長につながる。特に品質の作り込みが厳しい日系メーカーとの取引はとても大切になる。また全固体電池の蓄電できる試作品は完成済みだ。ただ市場の立ち上りがまだ先になる。当面はリチウムイオン電池の供給を優先する」

 ―電動車の普及で電池業界の勢力図は変わりますか。
 「電動車の急速な市場の伸びに対し、大容量の電池を供給できる投資力がないと(生き残りは)難しい。体力があるいくつかの企業がシェアを分け合うようになるとみている」

日刊工業新聞2018年7月2日

日刊工業新聞 記者

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07月02日
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中国政府の支援を受けながら急成長し、電池業界で存在感を強めるCATL。独ボッシュ出身で長期にわたり日系完成車メーカーとのビジネスに取り組んできた日本人の多田社長に白羽の矢が立った。日本法人の開設により日系メーカーとのコミュニケーション面の課題を解決し電池の取引拡大を目指す。
(日刊工業新聞・下氏香菜子)

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