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「CASE」商機に照準、事業領域拡大狙う自動車部品各社の戦略

「CASE」商機に照準、事業領域拡大狙う自動車部品各社の戦略

シェフラーとモービルアイは、自律走行機能に対応するEV向けプラットフォームを開発する

CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)技術の進展を受け、自動車部品各社が事業領域を広げている。独シェフラーなどは自動運転技術を組み合わせた電気自動車(EV)プラットフォーム(車台)を一体開発する。台湾の鴻海精密工業はEV開発用のプラットフォームを提案。複数の部品メーカーと連携してEVの製造受託を狙う。データを活用した移動サービスなどで新規参入も見込まれており、新たな需要に対応する。(西沢亮)

シェフラーと米インテル傘下でイスラエルのモービルアイは長期的な協力関係の構築で6日に合意。シェフラーのEVプラットフォームと、モービルアイの自動運転システムを組み合わせ、自律走行や用途に応じたカスタマイズが可能なプラットフォームを2023年にも開発する。

機能は特定条件下でシステムが完全自動運転で運行する「レベル4」を想定。人や物の輸送など用途に応じてプラットフォームを柔軟に拡張できる仕様とし、顧客が自律走行型のシャトルを効率的に導入できるようにする。移動型の充電スタンドや店舗としての活用も可能とみる。

モービルアイの幹部は「同プラットフォームにより今後、2―3年のうちに自律走行シャトルや、その他の無人輸送ソリューションの幅広い展開が可能になる」と見込む。

鴻海はEV向けソフトウエア・ハードウエアプラットフォーム「MIH」の構築や運用を加速する。MIHは標準化などで、誰もが独自のEVを効率的に開発できるプラットフォームを指向。日本電産など1900社を超えるサプライヤーが枠組みに参画する。10月には開発者向けの新たなツールの立ち上げを予定。23年に中型EVの量産も計画する。

鴻海はタイ国営のタイ石油公社(PTT)と、同国にEVの生産拠点を設ける合弁契約を14日に締結。23―24年をめどに年産能力5万台の新工場を設立。投資額は最大20億ドル(約2200億円)を見込む。MIHも活用しながらEVの現地開発や生産基盤の構築を支援すると見られる。

ボッシュも19年からEVなどの電動車向けプラットフォーム「ローリングシャシー」の提案を始めた。モーターやインバーターといった電動駆動装置(パワートレーン)だけでなく、ブレーキシステムなどの足回りを含めた電動化部品を一括して提供する。担当者は「事業部をまたいだ連携ができる強みを生かす」と気を吐く。

脱炭素やCASEの進展で車各社の事業領域が拡大。MaaS(乗り物のサービス化)では新規参入も見込まれ、電動化や自動運転技術を搭載した車両の開発ニーズが広がる。部品各社は車両開発から携わることで個別の部品だけでなく、システムやモジュールを一括して受注する機会を確保し、収益基盤の強化につなげる。

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