研究費をクラファンで集める。東海大のうまい施策設計

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東海大学とアカデミスト(東京都新宿区、柴藤亮介社長)は、クラウドファンディング(CF)と大学の研究費支援を組み合わせた新たな取り組みを始めた。学内採択の研究テーマに対し、研究費の半分程度を同社のCFで寄付金として集め、残りを同大総合研究機構が補助する。顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)治療と古代エジプト文化財調査の2テーマで開始した。

FSHDの研究は工学部の三橋弘明准教授が取り組む。原因遺伝子由来の二つのたんぱく質の相互阻害作用など明らかにするため、たんぱく質を検出する抗体の作製に取り組む。寄付者はリターンとしてFSHD研究を語り合うアカデミックカフェへの参加や、学術論文への謝辞掲載がある。研究費は100万円で、半分を寄付目標とする。

文化社会学部の山花京子准教授は古代エジプトの市井の人の守り神とみられる、複数の材料によるユニークなヒヒ神像の研究を手がける。調達した資金でX線コンピューター断層撮影装置(CT)による内部構造調査、年代測定と構成材料分析を行う。リターンは同大の古代エジプト文化財の個別オンライン見学会など。研究費は200万円で、半分を寄付金で賄いたい考え。

同大は研究者と社会をつなぐ活動で研究費の獲得に加え、アウトリーチを通じた学術研究ファンのコミュニティー形成が期待できるとみている。大学の研究への理解や親しみを高め、基礎研究における研究費構築に役立ちそうだ。

日刊工業新聞2021年6月11日

COMMENT

山本佳世子
編集局科学技術部
論説委員兼編集委員

企業資金などを得にくい基礎テーマに対しては、「大学としては資金面も応援したいのだが、なかなか難しい」のが一般的だ。それだけに、クラフドファンディングで個人を含む社会の反応を見て、そこである程度の応援が得られるのなら、「では大学としても支援に乗り出そう。当該研究者は大学の評判を高めるという役割も、果たしてくれているのだから」という施策は、うまく設計できていると感じた。「最先端機器を買うため、企業や政府からの大きな研究資金が必要」という形ではなく、准教授らへの100-200万円の資金でよいという点からも、費用対効果(社会と大学をつなぐ効果を含む)が高いのではないか。

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