「起業部」を設立した岐阜大のアントレプレナーシップに迫る! 

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4月に起業する長曽我部さん。ナノレベルで多穴を開けられる機械を操作

岐阜大学でアントレプレナーシップ(起業家精神)が広がりを見せている。学外のビジネスプランコンテストに入賞する学生も増えており、外部からの評価も高い。この中心には、起業を志す学生が集まる岐阜大公認の同好会「起業部」の存在がある。起業数も20社と、ようやく成果が出てきた。(名古屋・浜田ひかる)

「この春起業します」。岐阜大大学院自然科学技術研究科の長曽我部竣也さんは4月起業する。キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)文部科学大臣賞を受賞するなど、実績を積み重ねてきた。

所属する研究室で研究する、繊維にナノレベル(ナノは10億分の1)で穴を開けることが可能な「クレージング法」を応用。従来、紫外線(UV)や防虫加工など機能性繊維は、繊維の上から成分をコーティングする「コーティング法」と糸から機能を練り込む「練り込み法」がある。クレージング法はこのどちらでもない新たな手法として、岐阜大工学部化学・生命工学科の武野明義教授の基礎技術から生まれた。

今後は量産体制を確保し、クラウドファンディングで販売する予定。長曽我部さんは「目先は商品化。そして量産体制を整えたい」と意気込みを語った。

岐阜大でアントレプレナーシップが広がる背景には、2020年4月に設立した起業部の存在がある。長曽我部さんを部長に、月2回活動する。設立のきっかけには、今年度卒業した先輩起業家の存在がある。

先輩起業家の朝日翔太さんは、18年に人工知能(AI)ベンチャーを起業。しかし起業時、大学での支援制度は整っておらず「相談できる場もなかった」(朝日さん)。

起業家が相談する場を作るため、顧問を務める高等研究院の上原雅行准教授に設立を持ちかけた。

所属する学生の学部はさまざまだ。医学部や教育学部などから15人参加する。岐阜大生をサポートする情報サイト「らくたんしーた」を開設した工学部の加藤満基さんもその1人だ。まだ起業はしていないが「いつかは起業を」と意気込む。

認定規定を整備

また岐阜大は19年、大学発ベンチャーの認定に関する規定を整備。新たに「岐阜大学発ベンチャー」の称号付与や、大学内での登記が可能となった。

単位の取得できる授業も展開する。20年度から1年生向けに「アントレプレナーシップ入門」を開講。先輩起業家が登壇し、学生間でのエコシステム形成を促す。

4月、岐阜大は名古屋大学と経営統合し1年が経過する。今後も岐阜大は東海国立大学機構の一員として学内のアントレプレナーシップを育成していく。

日刊工業新聞2021年3月29日

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