日産が次世代生産システム導入、追浜・武漢工場はどう変わる?
日産自動車は中国の武漢工場(湖北省武漢市)と日本の追浜工場(神奈川県横須賀市)に次世代生産システムを導入する。産業用ロボットなどを駆使して自動化を進め、従来の労働集約的な工程を大幅に削減する。専用の生産ラインを設けることなく、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、エンジン駆動のみの車をつくり分けられる。脱炭素化の加速で電動車の需要が拡大する中、多様化する車のニーズに量産技術で柔軟に対応していく。
栃木工場(栃木県上三川町)に先行して次世代生産システムを導入し、現在は新型EV「アリア」を試作している。工場の建て替えを含めた投資額は約330億円を見込む。
近く稼働予定の武漢工場では栃木工場とほぼ同じ次世代生産システムを導入する。完全自動化ではなく人が対応する工程を一部残すなど、採用環境にも応じて最適化する。
追浜工場では2023年度までに次世代生産システムの導入に着手する。現在は独自技術「eパワー」搭載のHVを主力にEVを含めた電動車を生産している。栃木工場のシステムと異なり、エンジン車の生産を想定せず、車種を絞ることで効率化した新システムの導入を計画する。
次世代生産システムは世界初の技術群で構成。主要技術の「パワートレーン(駆動装置)一括搭載システム」は、作業者が専用パレットにエンジンなど各部品をセットするだけで、ロボットが車体の下から部品群を一括して組み付ける。
EV、HV、エンジン車の駆動装置に応じ、モーター、エンジン、電池などの27通りの部品の組み合わせに対応する。従来はきつい体勢を強いられた車体下からの締結作業なども自動化した。
日産は23年度までに世界で年100万台以上の電動車や、年150万台超の運転支援技術「プロパイロット」搭載車の販売を目指す。米テスラなどEV専業メーカーとの競争が本格化する中、量産技術で次世代車戦略を支える。