体験型の朝一がオンラインで復活!大阪市中央卸売市場が新たな試み
体験型の朝市がオンラインで復活―。「くいだおれの街」と称される大阪の食文化を支えるひとつが、大阪市中央卸売市場本場(大阪市福島区)だ。ただコロナ禍は市場にも変化をもたらしている。関係者が市場の目玉商品である魚を活用した催しを定期的に開催してきたが、1年以上の中止に。文字通り“生もの”を扱うだけに難しかったが、オンラインイベントで活路を見いだそうとしている。(大阪編集委員・林武志)
大阪市中央卸売市場は西日本有数の規模で、水産物のほか青果(野菜、果実)や加工食料品(漬物、みそ、乾物)などを取り扱う。市場で働く関係者有志が集い、約10年間取り組んできたのが「ざこばの朝市」だ。同朝市は子どもたちに魚を好きになってもらえるよう、車エビ釣りなど各種体験コーナーを設け、親子で水産物に触れ合う体験ができる。累計17万人の地域住人らが参加してきたが、約1年間開催は見送られている。
「ざこば」を漢字で書くと「雑魚場」。アジやイワシ、サバなどの大衆魚を中心に扱う魚市場の意味がある。朝市に携わる水産物販売の三恒(大阪市福島区)の三上正剛社長は「ずっと朝市を開催できていない。市場の有志で相談した結果、自宅で家族や仲間と魚をさばくオンラインイベントを考案した」と話す。照準は今が旬のタイ。「タイをさばけると大抵の魚をさばける。子どもたちの食育になり、親も自宅で楽しめる」と続ける。
そこで23日にオンラインで開くのが「お魚さばき体験&まるごといただきます」。朝市の実行委員会が天然タイをオンラインで参加者と一緒にさばく体験イベントで、お造りやアラ汁、ムニエルなどタイを頭からしっぽまで、すべて味わうことをコンセプトにした。
三上社長は「お客さまの反応は分からない。ただリハーサルで体験してもらった方々には、非常に喜んでもらっている」と手応えを感じ取る。
朝市に携わる中央市場のメンバーは大阪府中小企業家同友会の支部会員が多い。アルミニウムフレームを手がけるエーディエフ(大阪市西淀川区)の島本敏社長は運営など当日現地で手伝う。「国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標14(海の豊かさを守ろう)の観点からも、製造業の立場から、何かしら接点を見いだしたい」と話す。
三上社長は「朝市のビジョンは地域に貢献する市場。『食のまち、福島区』をオンラインを通じてアピールしたい」と意気込む。