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地元で有名な生鮮魚小売りも…「北海道」倒産ラッシュの前触れか

コロナ関連倒産は32件、業種に広がり
地元で有名な生鮮魚小売りも…「北海道」倒産ラッシュの前触れか

札幌八おきフーズカニ、魚卵、ホタテなどを中心に直営店やネット販売で売り上げを伸ばしたが(写真はイメージ)

生鮮魚介卸・小売りの札幌八おきフーズが9月18日に札幌地裁より破産手続き開始決定を受けた。同社は1998年(平10)12月に設立。当初より生鮮魚介類の卸を主体に手がけていた。創業者である前代表は札幌の大手水産卸での長年の経験を生かし、独立して当社設立に至ったが、前職時代に培った人脈と目利き力には確かなものがあり順調に業容を拡大。

毛ガニやタラバガニ、魚卵、ホタテなどを中心にエビ、ウニ、イクラなど生鮮魚介全般を取り扱い、卸業務のみならず本店の直営店やネット販売を通じて小売りに注力。2005年2月期に年売上高約10億円を計上していた。

お中元やお歳暮の季節における北海道産の水産商品に対する人気は根強く、同社もそうした引き合いに対応するため業務用の取引を拡大していった。しかし近年は水産業界を取り巻く環境は厳しく、気候・海温変動による不漁や外国との取引規制などもあって品目によっては取扱高の伸び悩みを余儀なくされ、仕入れ値の上昇もあって利幅薄の商いを余儀なくされていた。

こうしたなか、19年7月に前代表が死去。その後も営業を継続してきたが、創業者が亡くなった影響は大きく、20年2月期の年売上高は約4000万円にとどまっていた。

さらに新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、4月には緊急事態宣言が発出され、百貨店など商業施設も休業を余儀なくされた。中元商戦の時期を迎え、例年であれば見込めた売り上げが消失した影響も大きく、資金繰り悪化から先行きの見通しが立たず、破産申請に至った。

北海道内における新型コロナ関連倒産は32件(11月2日現在)。当初、見られなかった建築工事関連や水産関連など業種の裾野が明らかに広くなってきていることが見て取れる。ここへ来て道内の新型コロナ感染者数は再度増加傾向にあり、新型コロナ関連倒産と合わせて今後の動向に注目が集まっている。

(文=帝国データバンク情報部)
日刊工業新聞2020年11月10日

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