「豊洲市場」開業1年、取扱量減少に歯止めかからず課題山積

 日本の台所「豊洲市場(東京都江東区)」が開業して11日で1年になる。人口減少や消費者の魚離れ、産地と大手小売店の直接取引の増加など時代の変化を背景に、豊洲市場に移転しても水産物の取扱量減少に歯止めがかからない。いかに市場の使い勝手を良くし、魅力を高めていけるのかあらためて課題を突きつけられた。(大塚久美)

想定下回る


 豊洲市場では5日、東京都主催の1周年記念フェスタが開かれ、ステージ上では市場業者による青果や魚の目利き教室などが行われた。約5000人が来場して盛り上がった。

 順調に見える豊洲市場だが、消費者の魚離れは深刻だ。都によると、豊洲市場の2018年11―19年8月の水産物取扱数量は前年同期比6・2%減の28万9505トン、金額ベースで同4・1%減の3363億円。閉鎖型市場で低温での衛生管理という“豊洲市場の強み”が評価され、鮮魚・活魚の販売量はほぼ維持したものの、加工・冷凍品は減った。都の想定を下回り、苦戦している。一部の業者や消費者から築地のようなにぎわいを求める声が多いため、地元住民向けの買い場を設けることを検討するなど、豊洲市場協会の伊藤裕康会長は「情報発信して水産物への関心を高め、消費拡大と市場活性化につなげていく」と力を込める。

 

50年間継続可能


 築地市場跡地(東京都中央区)を都の一般会計に約5300億円で売却し有償所管換えしたことで、計算上は約50年間、豊洲市場は事業継続できるが、その後はどうするのか。20年6月には改正卸売市場法が施行され、中央卸売市場の開設に民間が参入できるようになる。都による中央卸売市場でも販売の拡大や効率化などが早急に求められる。

 国は業者の商機拡大や効率化のため、電子商取引といったキャッシュレス決済の導入を検討する。

民間の経営手法


 都の「市場の活性化を考える会」でも市場会計の持続可能性確保の取り組みや中央卸売市場の運営に関して議論しており、20年度中に結果をまとめる。水産物と青果、食肉に特化し、花きを切り離すのか、都の管理業務に民間の経営手法をどこまで取り入れるのかなどに注目が集まる。

日刊工業新聞2019年10月11日

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