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ENEOSが約1150億円でJSRのタイヤ材料事業を買収する狙い

ENEOSは11日、JSRから2022年4月をめどに自動車用タイヤ材料などのエラストマー事業を買収すると発表した。買収額は1150億円程度をベースに今後調整する。主力の石油製品の内需が減退する中、新たな収益の柱として素材事業を強化する。23年度に130億円の増益効果を見込む。

JSRが新設する子会社にエラストマー事業と関連する子会社や関係会社株式を承継した上で、ENEOSが22年4月をめどに同子会社を完全子会社化する。対象事業の20年度売上高は1431億円で、コア営業損益は赤字。JSRは同事業について希望退職を含む構造改革を進めており、ENEOSは60億円規模のコスト削減が完了する前提で買収を実行する。

ENEOSの河西隆英常務執行役員は、「新たなコア領域の技術獲得でさまざまな産業を支える高機能材料を提供していく」と狙いを語った。「今後も(素材分野で)シナジーがあり魅力あるものならば(M&Aを)検討していく」(河西常務執行役員)といい、今後も素材分野を強化する方針を語った。

JSRの祖業であるエラストマー事業の売却は、構造変革が必要な化学業界全体にとっても重要な変化点となる。JSRのエリック・ジョンソン最高経営責任者(CEO)は、「短期的な利益のためではない。同事業が長期的に成長するための決断」と強調した。

日刊工業新聞2021年5月12日

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