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ENEOSがナノインプリント活用の「透明導電フィルム」開発。低抵抗値と高い透明性を両立

ENEOSがナノインプリント活用の「透明導電フィルム」開発。低抵抗値と高い透明性を両立

ENEOS公式インスタグラムより(写真はイメージ)

ENEOSは、ナノインプリント技術を活用した透明導電フィルムを開発、2022―23年の市場投入を目指す。ナノ(10億分の1)サイズの型押し技術により極細の配線を厚く形成し、面抵抗0・1―10オームの低抵抗値と高い透明性を両立する。次世代自動車に求められる透明通信アンテナや透明ヒーターに提案する。

ENEOSのフィルムは、肉眼で視認できない高い透明性と高い導電性(低抵抗)を両立し、導電フィルムの新領域を狙う。フィルムに塗った樹脂にはんこを押すように型押しして凹凸構造を作り、溝に導電ペーストを埋め込んで配線を形成する。溝を深くすることで印刷技術よりも細くて厚い配線も形成しやすい。線幅は1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下にできる。

この特徴を生かし、同フィルムを次世代自動車向け透明ヒーターや第5世代通信(5G)用アンテナなどへ採用を目指す。例えば、寒冷地で運転支援センサーを安定的に使うにはフロントガラスの融雪や曇り防止が必要だが、電気自動車はエンジン排熱を利用できない。そこで極細配線を電熱線に利用した雪霜の除去を提案する。

また次世代車では直進性の強い5G用のミリ波帯電波に対応するため、ガラス窓へ複数の透明アンテナ設置が予想される。そこでナノインプリント技術による透明アンテナ加工を提案する。このほか通信障害や電子機器の誤作動を防ぐ電磁波シールドにも提案する。

ENEOS液晶(長野県辰野町)で生産し、サンプル提供していく。同社はフィルムに加え、ガラスへのインプリント技術も持つ。

20日から東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される展示会「オートモーティブワールド」で紹介する。

日刊工業新聞2020年1月18日

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