野村証券が全店導入「リモート相談」の狙い
野村証券はメールや電話、ウェブ会議システムなどオンラインツールを活用する中、独自の営業支援システム「リモート相談」を開発し、全店舗に導入した。以前から社内のデジタル化を進めていたが、コロナ禍で非対面ツールの活用が加速した。さまざまな手法を用いながら、顧客との接点拡大につなげたい考えだ。
リモート相談は、パソコンやタブレット端末の画面上で保有資産状況やパンフレットなどの商品資料を顧客と共有できる。営業員は顧客と電話で話しながら画面を共有して相談を受け、説明や提案ができる。パソコンなどの搭載カメラで互いに顔を映せるため、実際の対面営業のように表情を見ながら商談しやすい。導入の狙いについて、リテールビジネス推進部の広川隆雄部長は「販売の成果は接触件数に比例する部分がある。顧客と接点を広げる必要があり、リモート相談もその一つだ」と強調する。
システムは独自開発のため、セキュリティーが高い。地方を含む9店舗でリモート相談を試行し、改修を重ねて全店舗に導入。顧客が簡単に接続できるようにもした。営業員には使い方の研修などを通じて社内のデジタル化を底上げしたい考えだ。
リモート相談は「コンタクトセンター」(コールセンター)にも導入する計画だ。同センターは全国7拠点にあり、約1000人が在籍する。電話でのコンサルティングには、資産配分やリスクなどを把握しながら商品やサービスを提案する高度なスキルが必要とされる。4月から営業部門の約200人の新入社員がコンタクトセンターに配属された。広川部長は「育成の早期化と専門性の向上につながる」と話す。
コロナ禍で投資に関するウェブセミナーや動画配信も始めた。相続・贈与に関するセミナーでは1500人以上の申し込みがあった。一度に1000人以上を集客でき、会場費を削減できるメリットがあり、今後もデジタル化を継続する。(高島里沙)