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NTTが「ジョブ型」人事制度を全管理職に拡大。新規事業の加速なるか

NTTが「ジョブ型」人事制度を全管理職に拡大。新規事業の加速なるか

写真はイメージ

NTTは10月から、主要グループ会社の大半において、職務の内容に応じて従業員を処遇する「ジョブ型」の人事制度の適用範囲を全管理職に拡大する。従来は部長級以上を対象としていたが、課長級以上に改める。終身雇用は維持しつつも、外部環境の変化や社員の実力に応じ、柔軟に登用や降格といった人事を行う。NTTは新規事業の加速や海外売上高の拡大が課題。人事制度の改定がこうした課題解決に寄与するかが焦点となる。

NTTは自社および、NTT東日本やNTTドコモといった主要子会社の大半で、2020年7月から部長級以上にジョブ型人事制度を導入した。大きな混乱もなく定着しつつあると判断し、21年10月以降、対象を管理職全体へ広げる。

会社ごとに若干の差異はあるが、主要子会社では管理職における部長級以上の割合は4分の1程度。残りの約4分の3を占める課長級が、新たにジョブ型の適用対象となる。

ジョブ型は「ポストに給料を貼り付ける仕組みであるため、そのポストから外れたら、給料が下がる」(NTT幹部)。

例えば能力的な問題で部署Aの担当部長の業務を全うできなくなった人が部署Bの担当部長へ異動し、異動後の業務が異動前の業務よりも難易度が低いと、給与が減るといった場合が想定される。

日本ではNTTを含め、能力に応じて処遇する「職能給」を運用してきた企業が多い。年齢や勤続年数に比例して能力が高まるとみなされる傾向があり、担当業務の難易度や成果に応じた報酬が支払われにくいなどの課題が指摘されている。

NTTはジョブ型の利点に、管理職の使命や社内での位置付けが明確になり、業績や企業価値向上への意識も強化できるといった側面も挙げている。同社は19年度の海外売上高比率が18・7%だった。多様な幹部人材を育成し、収益源の多角化につなげられるかが問われる。

日刊工業新聞2021年4月20日

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