NTTドコモが5Gで16KのVR映像を配信、臨場感を見事に再現したぞ!
NTTドコモは、複数のカメラで撮影した映像をクラウド上のサーバーで即時処理し、高解像度の映像の生成や配信を可能にするシステムを開発した。3月、第5世代通信(5G)を用いて横方向16K360度の仮想現実(VR)映像をライブ配信することに成功。調査会社シード・プランニング(東京都文京区)によると、世界で初めてだという。ドコモは2021年度中に同システムの商用化を目指している。
16KのVR映像の生成は、ドコモが「スティッチング処理」により行った。撮影は4Kカメラ6台で実施したが、それらの映像をそのまま並べると重複する部分が出てくる。一つの映像としてまとめる際、“つなぎ目”を目立たせないようにするノウハウが生きた。視聴の仕組みには、ソニービジネスソリューション(東京都港区)の360度映像空間システム「ワープスクエア」を用いた。
遠隔地で観戦
また、ドコモは「スーパーインポーズ映像」の生成・配信にも成功した。スーパーインポーズは、視野範囲が広くVR向けのパノラマ映像と、視聴者が好みの視点を指定できるマルチアングル映像を重ね合わせて表示する技術だ。従来は、パノラマ映像とマルチアングル映像を別々のアプリケーション(応用ソフト)で再生する必要があったが、アプリを切り替えることなく視聴可能になる。
今回ドコモが作成した映像は、商用化後、どのような活用例が考えられるのか。この問いにドコモの的場直人移動機開発部担当課長は「16KVR映像に関しては、視聴にワープスクエアのような比較的大きい設備が必要になる。そのため例えばスポーツや音楽ライブの会場と離れた別の場所で、より臨場感のある観戦を行うのに適している」と答える。東京五輪で言えば、北海道や沖縄などの遠隔地で観戦体験を共有するイメージだという。
5Gは必須
スーパーインポーズ映像については「こちらも配信対象は音楽ライブやスポーツなどになると考えているが、ヘッドマウントディスプレーやスマートフォンでも視聴可能なので、広く一般の方に視聴して頂きたい」(的場担当課長)。
こうした高解像度の映像は、圧縮率を上げることで4Gでも配信可能だが、的場担当課長は「多くの方々に新しい視聴体験を楽しんで頂くためにも、より多くの情報を送信可能な5Gは必須になってくる」とする。ドコモは順調に5Gエリアを広げられるかが、あらためて問われる。(斎藤弘和)