夫婦の時間増えたけど、同僚との雑談は減った…テレワークの実態とジレンマ

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新型コロナで本格導入のテレワーク、ビジネスパーソンを変える

これまでの社会のあり方を大きく変えた新型コロナウイルスの流行。必然的にビジネスシーンも大きく変わらざるを得なかった。特に大きな変化の一つなったのはテレワーク(TW)の浸透だ。 これまで遅々として進まなかった働き方の見直しがコロナ禍で変化を余儀なくされた。業種や職種で向き不向きはあるものの、ビジネスパーソンの間で一過性には終わらない変革をもたらした。 日刊工業新聞社とYahoo!ニュースでは、そんなビジネスパーソンたちにTWによる働き方の実態を聞くアンケートを実施。コロナ禍がもたらしたTWによる働き方の変化を聞いてみた。(小川淳)

今回の調査は2月12日から18日にかけて実施し、対象はYahoo!クラウドソーシングユーザー3,000人(うち無効回答は23人)。男女比は6対4、年代は30代が20%、40代が37%、50代が32%だった。

まず「あなたはどの程度TWを実施していますか」(問3)と聞いてみたところ、約65%が「実施していない」と回答。「以前実施していたがやめた」を含めると、約7割が現在TWを実施していないと答えたことになる。

一般的なテレワークアンケートより実施率は低い結果に

一般的なTWアンケートと比べ、実施率が低く出ているものの、今回の調査は無作為抽出ではなく、あくまでYahoo!ユーザーからの自発的な回答であるため、その点は留意する必要がある。

通勤が不要、家族との時間が増えた。テレワークで人間らしい生活を取り戻す

では実施している人はTWにどんなメリットを感じているだろうか。

「疲労感が減り、より人間らしい生活ができるようになったと感じる」-。週に4日TWを実施しているというメーカー勤務の40代女性(大阪府)はアンケートにこう答える。実際、TWのメリットとして、「通勤時間がいらない」と挙げる人は多く、メリットを聞いた問7(複数回答)でも、29・7%と割合が最も多かった。

建築・土木業の50代男性(神奈川県)も、「通勤の無駄時間、通勤のストレス、無駄な疲労がなく、仕事モードのオンオフの自由度が高いので、集中して業務が出来るので効率が良い」と回答していた。

また、メリットに「仕事の合間に家事ができる」(12・9%)「家族との時間が増える」(10・3%)を挙げる人も多い。流通・小売業の50代の男性(千葉県)は、「今までは家事を出かける前と帰宅後にやっていましたが、隙間時間でできることがあるので、家事自体にも余裕が出てきました」とメリットを語る。メーカー勤務の40代の女性(埼玉県)も、「心のゆとりが生まれ、夫婦げんかが減りました」と喜ぶ。

さらに週に4日TWだという40代女性は(東京都)は、「通勤に片道1時間かかる。1日につき往復2時間分の可処分時間が増えるというメリットは大きい。また、通勤のための準備(メークなど)にもそこそこ時間や手間がかかるため、これが省けるのもありがたい。夫もテレワークのため、お昼ご飯を一緒に食べるなど夫婦の時間が増えた」と現在の生活に満足している様子がうかがえる。

「人間関係に煩わせられない」も12・4%と理由として多く挙がった。「同僚などとの雑談に付き合う必要がない」(神奈川県の50代男性)、「話しかけられて仕事が中断することがない」(東京都の40代女性)、「上司との接点が減ってストレスは低減した」(大阪府の40代男性)と、TWによって同僚から邪魔されることなく、仕事をしやすくなったこと感じる人はたくさんいるようだ。

テレワークのメリットでは通勤時間の削減を挙げる人が多い(複数回答)

「煩わしい人間関係はイヤ、でも会って雑談はしたい」

仕事とプライベートの境目がなくなるなど、デメリットも多く挙げられた(複数回答)

一方で、TWのデメリット(問9、複数回答)を聞くと「上司や同僚との情報交換が減った」ことを挙げる人も多い(11・5%)のは興味深い。メーカーに勤務する30代女性(神奈川県)は、「転職したばかりのためチームの人と顔を合わせられないのはやりづらい」とこぼす。教育・学習関連の50代男性(大阪府)も、「ちょっとしたことでも誰かに気軽に聞けず、自身で調べなければならないところに少しストレスを感じ、日ごろの何げない会話の重要性を再確認しました」と述べる。

また、運輸・物流の40代男性(佐賀県)は、「メールやチャットが他とのコミュニケーションの主体であり、文字だけでは伝わりにくいこともある」とTWならではの悩みを口にする。

TWなら同僚から横やりを入れられて自分の仕事のペースを乱されることはないものの、対面ならちょっとした雑談や何げない会話からヒントをもらったり、気分転換になったりするー。回答者からのそんなジレンマが伝わってくる。

こうしたジレンマはTWの生産性も左右する傾向があるようだ。「テレワークを実施してあなたの仕事の生産性に変化は感じますか」(問5)という問に対し、「少し下がった」「大いに下がった」と回答した割合(14・6%)の方が「少し上がった」「大いに上がった」(8・4%)と応えた人の割合の方が多かった。下がった理由としてコミュニケーションの課題を挙げる人が多いことから、対面での雑談や議論の代替としてオンラインコミュニケーションをいかに上手に活用していくかが大きな課題といえる。

テレワークで生産性は下がりやすい傾向?

また、金融業の50代の男性(東京都)は、「部下の仕事の進捗が把握しづらい」としたほか、流通・小売りの40代男性(埼玉県)も、「経営層がTWしてないので評価が気になる」とこぼすなど、TWでのマネジメントの難しさも課題だ。

これについて日本テレワーク協会(東京都千代田区)事務局長の村田瑞枝氏は、「TW時代にふさわしい適切なマネジメントが求められる。例えば上司や先輩なら、『one on one』をやって若手の意見を傾聴することやフラットなコミュニケーションを受け入れ、若手にあわせることが必要。逆に、若手が会社のヒエラルキーにあわせてくれて成功した事例は聞いたことはない」と指摘する。

断捨離、ヨガマット、3分の睡眠。仕事とプライベートの境目、どうすれば?

一方、TWのデメリットとしてさらに多いのは「仕事とプライベートの境目がなくなる」(14・9%)という悩みだ。流通・小売りの40代女性(東京都)は、「メリハリがつかず仕事が終わっても気分的に落ち着かない時がある」とする。

さらに「無期限に仕事を続けてしまう」(金融業の50代男性)、「自宅の業務時間以外も仕事のことを考える時間が増え、メリハリが効かなくなった」(40代男性)と、自宅で仕事をする難しさを訴える。

公私の区別が難しいTWならではの問題について、ユーザーからは、「気分の切り替えのスイッチを作る。私は勤務時間中は腕時計をつける」(IT・コンピューター関連の40代女性)、「リモート作業できる場合の方が効率がよいとき、職場勤務の方が効率が良い場合それぞれあるので、使い分けた方が良い」(メーカー勤務の40代男性)、「計画をしっかり立て、タイマーで時間を区切り、進める」(50代男性)などのアドバイスがあった。

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