カリスマ修会長退任、スズキの新経営陣は新中計を完遂できるか

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チーム力で次期中計完遂へ(鈴木俊宏社長(左)と鈴木修会長)

スズキが次期中期経営計画で経営課題に真っ向から取り組む。2021年4月から26年3月までの中計で自動車の電動化を積極化するほか、カーボンニュートラルや品質向上も重要テーマに据えた。計画を実行するため役員体制を一新し、鈴木修会長は6月に会長を退任して相談役に就く。鈴木俊宏社長と若手役員のチーム力で計画を完遂する構えだ。(浜松・岩崎左恵)

「策定した中期経営計画は30年あるいは50年のスズキの基礎をつくるもの。着実な実行を推進するために役員体制を一新し、後進に道を譲ることを決めた」。2月に開いたオンライン会見で鈴木会長は計画への思いに力を込めた。前回の中計ではCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)対応の遅れや品質問題などの課題が残り、計画は未達。課題への対応が生き残りに向けた優先事項となっていた。

鈴木社長は新中計について「25年以降もスズキが生き残るため、今後5年間で電動化技術を集中的に開発する」と狙いを話し、鈴木会長も相談役として「中期経営計画は見続けていく」とサポートを誓う。鈴木社長は軽自動車を守り抜く意思のもと役員や部長などを結集したチーム力でやりきる考えだ。

新中計では、5年間の研究開発費1兆円のほぼ全額を電動化の開発に充てる。計画が終わる25年までに電動化の技術を整え、30年までに電動化技術を製品に全面展開していく。数値目標などは設定していないが「適切な時期に全販売車種に投入していく」(鈴木社長)と順次モデルチェンジなどで投入を進める。

技術についてもスズキが開発した、モーターでエンジンをアシストするマイルドハイブリッドのシステムと同様に、小型車に適切なモーター走行も可能なハイブリッドシステムや電気自動車(EV)についても自社開発を進める。提携するトヨタ自動車と共同開発なども進める。2輪車も電動化を進め、実証実験しながらまずは東南アジア諸国連合(ASEAN)地域でEVスクーターを早い段階で投入する方針だ。

生産時の二酸化炭素(CO2)についても50年に排出ゼロを目指す。30年までに2輪車エンジンの組み立てや2輪車の完成組み立てなどを行う浜松工場(浜松市)でCO2排出ゼロを目指し、浜松工場の成果を全工場へ展開していく。国内では太陽光発電などの再生可能エネルギーの利用推進や都市ガスの拡大などを行う。技術の横展開のほか新しい技術開発も行う。鈴木社長は「試行錯誤をかさね、カーボンニュートラルの技術力を付けたい」と意気込む。

品質向上については市場品質情報の人工知能(AI)管理や車両データの自動取得などを行っていく。

EVやハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)は軽自動車についても投入していきたい考えだが、価格が上がるという課題をクリアする必要がある。実力を示すには数値目標などを設定し、どのぐらいの規模で行うか示すことも重要だ。この5年間はスズキがさらなる成長ステージに上がれるかを占う重要な中計になりそうだ。

日刊工業新聞2021年3月25日

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