トヨタ系中堅サプライヤー、中期の戦略に舵を切る理由

CASE対応や新事業で成長探る

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東海理化と大日本印刷のデジタルキー利用イメージ

トヨタ自動車系中堅部品メーカーで、中長期経営ビジョンを策定する動きが活発化している。2030年を見据え、既存製品の技術を生かした新事業などに取り組む考え。世界的な脱炭素社会への加速に加え、自動車業界はCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)への対応に迫られている。環境変化に適応しながら新事業に取り組むことで、次世代に向けた成長への道筋を描く。

トヨタ系中堅サプライヤーは中長期的な経営ビジョンの検討・発表を相次いで打ち出している。東海理化はカーボンニュートラルや新規事業などについて30年に向けた中期経営計画を策定し、4―5月にも公表予定。ファインシンターも30年を見据えた次期中計を検討している。愛三工業は国連の持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みなど30年への経営ビジョンを1月に発表した。具体的な数値目標は今後策定するとしている。

自動車業界を取り巻く環境変化は激しさを増している。世界各国は脱炭素への取り組みを本格化しており、日本も50年までにカーボンニュートラルの実現を目指す。さらにCASEへの対応も求められ、電動化の加速などで車部品も変化に迫られている。新たな事業を確立することは持続的な成長に向けて喫緊の課題だ。

自動車のスイッチやカギなどを手がける東海理化は、新たな価値提供に向けてコワーキングスペースの入居など、新たなビジネスの機会を積極的に探っている。「当社が勉強になっている。良い機会を得ている」と東海理化の二之夕裕美社長は実感する。こうした知見を生かしつつ、最近ではデジタルキーの事業展開が活発だ。浜松市でスズキなどと取り組む「オフィスカー」での活用や、2月には大日本印刷とスマートフォン向けデジタルキーの提供を開始した。

ファインシンターも20年春に立ち上げた未来創成準備室でチタンを生かした新製品などの戦略を練る。「新事業が花開くのは25年以降だろう」(井上洋一社長)と期待を寄せる。燃料ポンプなど内燃機関部品が得意な愛三工業も、ハイブリッドシステムを活用した飛行ロボット(ドローン)の開発を通じて培ったノウハウを生かして電動化対応部品の提案に本腰を入れる構えだ。中央発條では自動車向けケーブル技術を生かして内視鏡関連への応用を模索する動きもある。

各社とも具体的な目標設定はこれからだが、ビジョンを掲げつつ、新事業を確立させる取り組みが重要性を増しそうだ。

日刊工業新聞名古屋支社・山岸渉

日刊工業新聞2021年3月9日

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愛三工業

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