三菱商事とNTTは共同で食品流通の課題を解決!ブロックチェーン実証へ
三菱商事はNTTと共同で、デジタル変革(DX)の企画やソリューション開発を提供する新会社を今春設立する。両社は2019年に業務提携したが、新会社で産業DXの推進をさらに加速。3社で、21年度からブロックチェーン(分散型台帳)機能の一つであるスマートコントラクトの実証実験を行う。加えて三菱商事は、東芝テック、富士通、ラキール(東京都港区)ともDXサービスの推進で協業を検討することで合意。食品流通業界での課題解決に取り組む。
新会社のインダストリー・ワン(同千代田区)は資本金9億円で、三菱商事51%、NTTが49%それぞれ出資する。食品流通分野からサービス提供を始め、あらゆる産業に広げていく。3年後に社員100人規模、売り上げで30億―50億円規模を目指す。
三菱商事はパートナー企業との連携も進める。東芝テックとは食品小売りの了解を得た段階で販売統計情報を活用し、需給調整ソリューションを食品メーカー向けに提供していく。食品メーカーは出荷・生産計画の高度化が期待できる。
富士通とは、食品卸で現在は手作業で行っている、発注量の決定プロセスの自動化ソリューションの構築に取り組む。ラキールとは、サービスごとの変更が容易で、柔軟性に優れるマイクロサービスアーキテクチャーを採用した同社製品を活用し、食品卸の在庫最適化ソリューションを開発していく。
これまでに三菱商事とNTTは、小売りや卸、メーカーの在庫、受発注といった企業内で抱えるデータと、気象予測情報など外部データをシームレスに連携する基盤をNTTデータと共同で開発。三菱商事子会社のエムシーデジタル(同千代田区)と独自開発した人工知能(AI)エンジンを用い、約1万商品を対象とした実証実験では、物流センターの在庫を最大4割削減し、欠品率を下げることにも成功した。
今春から三菱食品が運営するローソン向け物流センターの一部で加工食品や菓子、飲料などを対象にこの仕組みを応用し、他企業にも順次展開していく。