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NY原油が1年1カ月ぶりの高値、背景に中東情勢の緊迫化

ニューヨーク市場の原油先物が急伸し、約1年1カ月ぶりにバレル当たり60ドル台をつけた。先週末に比べ約2%高く、中国で新型コロナウイルス感染症が広がる前の2020年1月上旬以来の高値圏を推移している。イスラム教の武装組織が発射した飛行ロボット(ドローン)をサウジアラビア側が迎撃したと伝わり、中東情勢の緊迫化への懸念が相場を押し上げた。

ニューヨーク市場の米国産標準油種(WTI)先物は、日本時間15日昼時点で同60・8ドル近辺と年初比で約3割高い。1月上旬にサウジが減産幅の拡大を表明したことに加え、足元では中東情勢の緊張による供給懸念が上昇要因となっている。

ロイター通信によれば、サウジ主導の有志連合軍が14日、イランが支援する武装組織フーシが発射した爆発物搭載のドローンを迎撃。サウジへの攻撃は直近4日間で5回行われたという。また米国では1兆9000億ドル規模の追加経済対策の成立に向けて民主党が結束を強めていることや、新型コロナの新規感染者数の減少が原油相場の強材料。米国の原油在庫量が5日時点で4億6901万バレルと約10カ月ぶりの水準まで減少していることも相場を支援。年明け以降の上昇が急ピッチだったことで「スピード調整が入るが、年間通しては経済正常化の中で需給が引き締まる方向となり原油相場は高水準での推移となる」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至主任研究員)との見方がある。

日刊工業新聞2021年2月16日

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